新井ゆたか長官インタビュー 「生き抜く力」消費者力養成を支援🔒

消費者月間特別インタビュー

◎新法・改正法の周知徹底推進 多様性重視、地域見守り支援

5月は「消費者月間」。消費者・企業・行政が消費者問題の重要性を確認し合う「期間」として設定されている。今年のテーマは「デジタルで快適、消費生活術」。デジタル社会の進展が消費者のくらしにどんな影響を与えているか再検討する機会となる。コロナ禍が後押ししたデジタルツールの消費生活への浸透は、生活を便利にする一方で、インターネット通販分野のトラブル急増、デジタルに不慣れな高齢者被害の増加、深刻化する投資詐欺や若者被害の潜在化など、多くの課題も提起している。便利さを得るために消費者被害発生によって失うものも多いことが次第に認識されつつある中、そのような被害を防止するための対応も急がれるところだ。ニッポン消費者新聞は、消費者月間にちなみ、消費者庁・新井ゆたか長官にインタビューし、課題山積の現状に対する今後の取組方針を尋ねた。新井長官は、「消費生活の基本となる多様性を重視し、関係機関との連携を深めていく」「ゴールの前に立ちはだかる岩を見据えつつ、日々、ゴールを目指すことが重要」と説明、消費者庁にあっては消費者政策に先取り的に取り組み、現在の課題を将来に残さないよう精一杯努力していく、と表明している。

新井ゆたか消費者庁長官

◎多様性を重視 施策推進も幅広く連携へ

今年の消費者月間は、消費者被害の防止・救済への課題対応とともに、デジタルで快適な消費生活を送るにはどんな方策が必要か、それを考える機会として位置づけられます。日々の生活は多様性の中でこそ営まれていますので、消費者施策の遂行にあたっても多様性を重視した取組が必要と考えています。

例えば、消費者庁は、高齢者や障がい者を見守る「見守りネットワーク」の設置を全国に働きかけていますが、見守り活動は消費者行政だけの取り組みではありません。まさに、生活全般に関わる多様な対応が求められるものです。実際、地域の見守りでは、高齢者向けイベント情報の提供をはじめ、防災無線を使って災害防止の注意喚起情報を流したり、振り込め詐欺の横行を知らせたり、地域全戸に情報が届くよう、工夫した取組が展開されています。地域特性を活かした見守り活動は、消費者行政に限らず、警察・福祉・病院など多様な機関との連携した活動として展開されているのです。

消費生活センターや消費者相談窓口においても、全国規模でみると、地域の産業課や、市民課など設置部署に違いがあります。また、センター所在地も本庁舎か分庁舎か、駅から遠いところか近いところかなど、千差万別の中、様々な条件のもとで消費者相談業務が展開されています。センターが駅から近い庁舎にあるなら、遠いところより、消費者が来所し易く迅速対応には効果的かも知れません。でも、離れていてもその近くに社会福祉協議会(社協)や地域包括支援センターがあれば、見守り活動で太いつながりができる条件が揃っているとも言えます。「見守り」は地域特有の環境の下で……(以下続く)

(本紙「ニッポン消費者新聞」5月1日消費者月間特集号より一部転載)

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