昨年の食中毒発生件数増加、患者数は減少 アニサキス過去最多

2022年に国内で確認された食中毒発生件数は962件で、前年比245件増加したことが3月23日、厚生労働省のまとめでわかった。一方、患者数は6856人で、前年比4224人減と大きく減少した。死者が発生した食中毒は5件(前年は0件)で、自然毒が4件(イヌサフラン、ふぐ、イヌサフラン天ぷら、グロリオサ)、肉総菜が1件(腸管出血性大腸菌)だった。厚労省食中毒部会で報告され、五十君靜信部会長(東京農大教授)は「昨年は500名を超える大型食中毒が発生せず、患者数が減少したが、アニサキスの患者1名事例が事件数を押し上げたというのが特色だ」と分析した。

まとめによると、病因物質別ではアニサキスが566件(前年比222件増)と最も多く、12年の届出義務化以降、過去最多を更新。全体の58.9%を占めた。以下、カンピロバクターが184件(30件増)、ノロウイルス63件(9件減)などと続いた。アニサキスの増加について、厚労省は「自治体担当者からの話では、医療機関でアニサキスの認知度が高まり、胃カメラでアニサキス虫体を取り除いた際、食中毒として報告されるケースが多くなっている」と説明した。

また、コロナ禍でニーズが高まるテイクアウトでは、27件の食中毒が発生。集計を始めた19年が15件、20年、21年がそれぞれ24件と推移し、厚労省は「(全体の発生件数に占める割合は低く)テイクアウトによる食中毒は増えている状況にない」と分析した。

アニサキス食中毒は春にかけて増加する傾向がみられることから、厚労省はツイッターなどで予防方法を周知する方針。冷凍(マイナス20℃で24時間以上)や加熱(70℃以上、または60℃なら1分)が有効なことや、目視での確認、鮮度の徹底などの対策を呼びかけていく。

2023年3月29日修正 食中毒発生件数961件→962件に 患者数6852人→6856人に)

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. パブリック・シチズン
    米国の消費者団体パブリック・シチズンのロバート・スタインブルック博士は11月21日、米食品医薬品局(c
  2. ETOC
    特殊詐欺グループと知りながら電話回線を提供する反社会的な電話事業者が存在することから、通信系の5団体c
  3. 高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会
    消費者庁は10月16日、高齢者や障がい者の地域見守り活動についての情報共有化をめざして「高齢消費者・c
  4. 米消費者製品安全委員会
    米国消費者製品安全委員会(CPSC)は11月18日、複数の事故が発生していることを把握していながら直c
  5. 電話相談
    ◎全国有料老人ホーム協会が開設 経験豊富な相談員が対応 公益社団法人全国有料老人ホーム協会(有老協c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る