昨年の食中毒発生件数増加、患者数は減少 アニサキス過去最多
- 2023/3/24
- 食品
2022年に国内で確認された食中毒発生件数は962件で、前年比245件増加したことが3月23日、厚生労働省のまとめでわかった。一方、患者数は6856人で、前年比4224人減と大きく減少した。死者が発生した食中毒は5件(前年は0件)で、自然毒が4件(イヌサフラン、ふぐ、イヌサフラン天ぷら、グロリオサ)、肉総菜が1件(腸管出血性大腸菌)だった。厚労省食中毒部会で報告され、五十君靜信部会長(東京農大教授)は「昨年は500名を超える大型食中毒が発生せず、患者数が減少したが、アニサキスの患者1名事例が事件数を押し上げたというのが特色だ」と分析した。
まとめによると、病因物質別ではアニサキスが566件(前年比222件増)と最も多く、12年の届出義務化以降、過去最多を更新。全体の58.9%を占めた。以下、カンピロバクターが184件(30件増)、ノロウイルス63件(9件減)などと続いた。アニサキスの増加について、厚労省は「自治体担当者からの話では、医療機関でアニサキスの認知度が高まり、胃カメラでアニサキス虫体を取り除いた際、食中毒として報告されるケースが多くなっている」と説明した。
また、コロナ禍でニーズが高まるテイクアウトでは、27件の食中毒が発生。集計を始めた19年が15件、20年、21年がそれぞれ24件と推移し、厚労省は「(全体の発生件数に占める割合は低く)テイクアウトによる食中毒は増えている状況にない」と分析した。
アニサキス食中毒は春にかけて増加する傾向がみられることから、厚労省はツイッターなどで予防方法を周知する方針。冷凍(マイナス20℃で24時間以上)や加熱(70℃以上、または60℃なら1分)が有効なことや、目視での確認、鮮度の徹底などの対策を呼びかけていく。
(※2023年3月29日修正 食中毒発生件数961件→962件に 患者数6852人→6856人に)