【米国】点眼薬で失明や死亡 12州55人被害 緑膿菌汚染か
- 2023/2/6
- 海外
米グローバル・ファーマ・ヘルスケアは2月2日、ドライアイ治療などに用いる人工涙液点眼薬が薬剤耐性緑膿菌に汚染された可能性があるとして、自主リコールを発表した。米食品医薬品局(FDA)や米疾病対策センター(CDC)の最新発表(2月3日)によると、1月31日時点で12州にまたがる55人の感染症患者が特定され、そのうち1人が死亡、5人が失明しているという。FDAなどは消費者に使用中止を呼びかけている。
問題の点眼薬(OTC薬)はグローバル・ファーマ・ヘルスケアが製造した「Artificial Tears Lubricant Eye Drops」。エズリケア社とデルサム・ファーマ社が自社ブランドとして米国内でインターネット販売した。患者らは異なる10以上のブランドの点眼液の使用を報告していたが、最も報告数の多かったのがエズリケア製品。CDCの臨床検査ではエズリケアの開封済み製品から薬剤耐性の緑膿菌(カルバペネム耐性緑膿菌)が検出された。現在、未開封製品の検査を進め、製造段階での汚染かどうかを調査している。
この点眼薬は防腐剤不使用でありながら複数回分をボトルに詰めていた。米消費者団体のコンシューマー・リポートは「防腐剤を含まない点眼薬は通常、使い切りのパッケージで販売される。複数回使用する容器は細菌汚染を受けやすいからだ」と指摘。FDAもこの点を問題視しており、グローバル・ファーマ・ヘルスケアにリコールを求めた背景として▽同社が細菌汚染検査を適切に実施していなかった▽適正製造基準(CGMP)に違反して、防腐剤を適切に使用しないまま複数回使用できるボトルに詰めた――ことをあげていた。
カルバペネム耐性緑膿菌のアウトブレイクは米国初だといい、コンシューマー・リポートは「多くの抗生物質に対して強い耐性があるため特に危険。感染の兆候のある人はすぐに医療機関を受診してほしい」と呼びかけている。