除雪機の死亡事故、毎年発生 7割が誤使用・不注意 適正使用を
- 2022/12/22
- くらし
除雪機による死亡事故が毎年発生しているとして、NITE(製品評価技術基盤機構)が適切な使用を呼びかけた。全体の七割が不使用や不注意によるもので、安全機能を無効化したり、エンジンをかけたままその場を離れたりするケースが報告された。今冬は日本海側を中心に降雪量が平年並みか多いと予想されており、「除雪機の使用機会が増えるため、より一層の注意を」と呼びかけている。
NITEによると2021年度までの10年間に除雪機による死亡事故が25件あり、毎年発生していた。降雪量が増えた年は死亡事故件数も増加する傾向がみられ、雪の少なかった19年度は1件、記録的な大雪となった20年度は7件にのぼった。
また、死亡事故のおよそ7割(18件)が使用者による誤使用や不注意によるもの。安全機能を無効化して作業したため、転倒した際に除雪機が停止せず、下敷きになったケースや、エンジンをかけたままその場を離れたため、子どもが回転部に巻き込まれるケースなどが報告された。
広島県で21年1月、使用中の除雪機の下敷きになり、80歳代の男性が死亡する事故が起きた。男性は安全機能である「デッドマンクラッチ機構」を無効化しており、後進する際に転倒してしまい、除雪機の下敷きになったとみられた。
同じ時期に新潟県で、9歳の男児が除雪機に巻き込まれて死亡するという痛ましい事故が発生。除雪作業の途中で使用者が除雪機のエンジンを切らずにその場を離れたため、「オーガ」と呼ばれる回転部に雪を投げ込むなどして遊んでいた男児が回転部に接触して、巻き込まれたとみられた。
デッドマンクラッチ機構は、使用者が操作ハンドルから手を離すと自動的に除雪機が停止する安全機能。事故事例を見てみると、使用者が自ら無効化して負傷するケースが相次いでいた。無効化する理由について、NITEは「除雪作業は極寒の中、何時間も除雪機の操作ハンドルを握り続けなければならないというつらい作業。高齢者が作業するケースも多く、解除したり、固定したりしてしまう。また、高く積もった雪の山を除雪するため安全装置を無効化し、除雪機を作動させた状態にして、オーガに雪を投げ込んでいる可能性がある」と説明した。
こうした事故のほか、除雪機の排気による一酸化炭素中毒も起きていた。消費者庁に報告された3件のうち2件が死亡事故で、北海道で21年11月、物置で除雪機を作動させていた70歳代の女性が心肺停止状態で発見される事例が報告されていた。
NITEは▽安全機能を無効化しない▽転倒したり、挟まれたりしないよう周囲をよく確認する▽周囲に人がいない状況で作業する▽その場を離れるときはエンジンを切る▽作動や停止を含め風通しの良い屋外で使用する――などの注意ポイントを示している。