アルミ缶リサイクル協会50周年 量から質へ水平リサイクル注力

来年2月7日に創立50周年を迎えるアルミ缶リサイクル協会は12月2日、都内で記念式典を開いた。経済産業省幹部や関連事業者、報道各社など50人以上の参加者を前に、これまでの歩みや今後の取り組み方針などを報告した。花房達也理事長は「リサイクル率の数値そのものだけでなく、これからは缶から缶への水平リサイクル率を高めていく。使用済みアルミ缶の国内循環を拡大させるため、リサイクルのあるべき姿を考えていきたい」と語った。

アルミ缶リサイクル協会50周年

創立50周年記念式典で挨拶するアルミ缶リサイクル協会の花房達也理事長(12月2日、如水会館にて)

同協会は1973年2月7日に「オール・アルミニウム缶回収協会」として設立された。当時、自動販売機の普及にともない飲料缶のポイ捨てが多発。「空き缶公害」として社会問題化し始めたため、関連事業者が集結し、回収活動の普及啓発に乗り出した。1976年には表彰制度を開始し、自治会や町内会による草の根の集団回収を支援。その後、リサイクル運動の高まりや法整備などの後押しも受け、全国を網羅するアルミ缶回収ルートを築いた。

2021年度のアルミ缶リサイクル率は96.6%。ここ6年間は92%以上を維持しており、花房理事長は「協会が把握していない分を含めると、ほぼ100%に近いリサイクル率。これからはリサイクルの中身に注目し、CAN to CAN率を高めていく」と語った。

式典冒頭で祝辞を述べた経産省金属課金属技術室の伊藤隆庸室長は「2050年カーボンニュートラルの実現に向けてアルミ缶リサイクルは必要不可欠。鉱山開発・採掘を減らし、エネルギーの削減にもつながる付加価値の高い取り組みだ」と発言。

また、経産省資源循環経済課の田中将吾課長は「CO2(二酸化炭素)排出削減へ待ったなしの対処が求められている。さらに資源の高騰・入手困難といった新たなリスクも高まっており、経済安全保障の問題として政府も懸念している。脱炭素社会を目指していく中でアルミの重要性はさらに高まっており、消費者、自治体、事業者との回収スキームを構築しているアルミ缶リサイクル協会とともに、サーキュラーエコノミー(循環経済)の推進に向けて取り組んでいきたい」と語った。

2021年度のCAN to CAN率は67%で、近年は70%前後で推移している。一方で使用済みアルミ缶(UBC)の22%が海外に流出しており(重量ベース)、協会はこの問題を今後の課題と位置づける。異物混入が少ない日本のUBCは再利用がしやすく、アジアを中心に海外事業者からの需要が強い。花房理事長は「関連業界全体で国内循環量の拡大に取り組む必要があり、(リサイクルの仕組みの見直しを含めて)どうあるべきかを考えていきたい」と述べた。

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