多摩消費生活センター、23年度中に移転 都が機能強化めざす
- 2022/11/28
- くらし
東京都が運営する2カ所の消費生活センターのうち、多摩地域の拠点となる「多摩消費生活センター」が2023年度中に移転することがわかった。都は移転を機に同センターの機能を強化し、利便性の向上や地域性を生かした交流の活発化を図りたい考え。11月24日開催の第1回検討部会では、エシカル消費を体験できる場、他団体と広く交流できる場としての運営を求める意見が出された。
多摩消費生活センターは現在、立川駅南口から徒歩10分の都北多摩北部建設事務所3階で事業を行っている。建設事務所の執務室拡大に伴い、23年度中に移転する計画で、同駅近くの民間ビルを選定中。都は移転を機に更なる機能の充実・強化を目指す考えだ。
同センターの主要機能は「学習の場の提供」、「消費者教育」、「市町村支援」の3つ。相談業務は行わず、主に講座や実習、図書資料室の運営、消費者団体への教室貸し出しなどを展開する。年間60回程度開く講座は地産地消や食品ロス削減、終活など関心の高いテーマを設定し、コロナ前の18年度は約2500人が参加。今年度も動画配信を取り入れるなどして、会場参加は約400人、視聴数は約3400回を見込む。
24日にオンライン開催した第1回「多摩消費生活センターの機能強化検討部会」(部会長・平澤慎一弁護士)では機能強化に向けた方針が示された。消費者の学習や団体の活動を支援するため、Wi-Fiの配備、学習室のオンライン使用申請の導入、新規団体への活動場所の提供などを目指す。図書資料室はオンラインでのレファレンス対応とし、飯田橋の都消費生活総合センターと連携して双方での取り寄せを可能とするなどサービスの向上を図る。
これに対し、多摩のくらしを考えるコンシューマーズネットワークの五十嵐ちづ子事務局長は施設予約の負担軽減を求めるともに「新規団体は消費生活問題だけでなく福祉団体や介護団体も対象としてほしい」と要望。都は「広範囲な団体への貸し出しを想定しているが、あまり広げてしまうとコアな消費者団体の使用に支障が出るおそれもある。バランスを取りながら決めたい」と答えた。
消費者教育支援センターの柿野成美理事は「交流コーナーは多摩地域の木材に触れられたり、フェアトレードのコーヒーが飲めたりする地産地消・エシカル消費の体験の場としてほしい」と提案。東京消費者団体連絡センターの小浦道子事務局長は「多摩地域は大学が多く、消費者教育では大学生とコラボするなど取り組みが広がっていくことを期待する」などと求めた。
都は12月に第2回、1月に第3回の部会を開き、答申案をまとめる予定だ。