<米国>緑茶ダイエットは「期待薄」 大量摂取に警鐘
- 2018/2/8
- 海外
ダイエットにつながるとしてアメリカで人気の高い緑茶について、米消費者情報誌コンシューマーリポートは「購入者が期待するほど健康効果は得られない。緑茶サプリメントなどが売られているが、大量摂取による健康被害が発生している」と注意を呼びかけた。
同誌によると、米国における緑茶サプリメントの市場規模は1億4000万ドル(2015年)。「Green Tea Triple Fat Burner」や「Green Tea Slim」など、魅力的な商品名で販売され、体重減少やがん・心臓病予防を期待した人を引きつけているという。
同誌は緑茶のダイエット効果と安全性について、専門家のコメントを紹介。その中で、アパラチアン州立大学のデービット・ニーマン博士は「カテキンとカフェインの組み合わせが代謝率の向上につながると考えられているが、緑茶を数杯飲む程度では脂肪が溶け出すことはない」と説明した。
さらに「たとえ大量に飲んだとしても体重減少につながる影響力は最小限にとどまる」と強調し、著名な学術誌「Clinical Nutrition」掲載(2016年)の研究を紹介した。この研究によると、太り気味の女性達に1日当たり約1350mgの緑茶抽出物(緑茶15杯分に相当)を12週間飲んでもらったところ、緑茶摂取群は体重が平均2.4ポンド(約1キロ)減少したのに対し、プラセボ群(偽薬摂取)は4.4ポンド(約2キロ)減少したという。ニーマン博士は「緑茶サプリメントの多くが大量摂取を推奨しているが、重い肝機能障害の報告があり、専門家が警告を発している」と指摘した。
また、コンシューマーリポート誌のチーフ・メディカル・アドバイザー、マービンM・リップマン博士も緑茶の大量摂取について言及。「砂糖入り飲料の代わりに1日数杯の緑茶を飲むことは悪いことではないが、ガロン単位(1ガロンは3.8リットル)でがぶ飲みするのはよくない。お茶のいれ方によってカテキン濃度は大きく異なり、何杯なら安全かは明確でない」とコメントした。
同誌はがんや心臓病の治療・予防効果についても調査したが、確固たる科学的証拠がなかったと言及。いずれの専門家も「数杯程度なら害はないが、緑茶に奇跡の治療・予防効果を期待してはいけない」と語ったという。同誌は「これまでの暴飲暴食を緑茶のみに償わせてはいけない」とし、バランスのとれた食事を心がけるよう呼びかけている。