【欧米】熱波と干ばつでチーズの表示要件満たせず 特例の適用要望

今夏、欧州を襲った記録的な熱波と干ばつにより、チーズの地理的表示要件を満たせなくなったとして、フランスの15のブランドが国立原産地品質研究所(INAO)に対し、飼料要件の緩和と一時的な製造方法の変更を認めるよう求めたことがわかった。仏消費者団体UFCが9月30日に伝えた。

UFCによると、乳牛用の牧草地は熱波と水不足により草が育たず、「玄関マット」のような状態になっているという。十分な量の飼料を確保できず、酪農家は干し草やサイレージ(牧草を発酵させた餌)を代わりに与えることを余儀なくされている。このため、チーズの地理的表示保護制度における飼料要件を満たすことができず、製造を完全停止する販売者も出ている。

気候変動が農業生産に与える影響は年々深刻化しており、INAOも持続可能な地理的表示保護制度を目指し、チーズの地理的特徴を維持しながら気候変動に適応するための措置について検討しているという。

EU(欧州連合)は今年2月、ロシアのウクライナ侵攻により食品原材料の調達が困難となり、豚と鶏の有機飼料に関する規制を緩和する措置を実施した。ウクライナは有機たんぱく飼料の主要輸出国で、フランスでも全飼料の最大5%まで非有機飼料を与えても良いとする緩和案が検討されている。

欧州の食品表示制度は、年初は地政学的リスク、年後半は気候変動リスクに揺さぶられ、維持が困難な状況になっているという。

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