【米国】後払い決済に規制を 「チャージバック権」も要求

クレジットカードに代わる新しい決済手段として急成長している「後払い決済(BNPL、Buy Now Pay Later)」について、米消費者団体のコンシューマー・リポートは9月15日、消費者金融保護局(CFPB)に改めて監視と規制を要請した。CFPBは同日、後払い決済に関する市場調査報告書を公表しており、脆弱な消費者保護、利用者データの収集・収益化、過剰融資などのリスクを指摘していた。コンシューマー・リポートは新たに「チャージバック権」(不正利用や商品未達などの際、ユーザーが支払い拒否または返金を求めて決済事業者に異議を申し立てる権利)の導入を求めている。

CFPBの調査によると、BNPL市場はコロナ禍に急速に成長し、調査した主要5社の2021年融資は1億8000万件、総額240億ドル(3兆4372億円)と2019年のおよそ10倍に拡大していた。

ローンの承認率は20年の69%から21年の73%に上昇する一方で、遅延料金を1回以上請求されたユーザーの割合は20年の7.8%から21年の10.5%に拡大。これまではアパレルと美容に特化した決済サービスだったが、いまでは旅行、ペット製品、食料品、エネルギーなど様々な業界に広がっていることも確認された。

同市場の懸念事項として、CFPBは過剰融資の問題に加え、「運営事業者によってクレジットコストの開示が十分でなかったり、苦情処理体制が整っていなかったり、遅延料に差があったりと業界標準的な消費者保護策がとられていない」と指摘。また、多くの事業者がアプリによるサービス提供に移行しており、利用者データの収集・収益化がプライバシーとセキュリティを脅かす危険性があると問題視した。

BNPLは購入した商品代金を4回の分割払いで返済する無利子クレジット方式で、支払いが滞ると遅延料が発生する仕組み。一部の州を除いて規制が追い付いておらず、与信審査や情報開示などのルール設定が事業者まかせとなっている。コンシューマー・リポートは「CFPBも報告書の中で規制の必要性について触れており、消費者保護の強化に向けた多面的な改革を期待する」と呼びかけている。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. パブリック・シチズン
    米国の消費者団体パブリック・シチズンのロバート・スタインブルック博士は11月21日、米食品医薬品局(c
  2. ETOC
    特殊詐欺グループと知りながら電話回線を提供する反社会的な電話事業者が存在することから、通信系の5団体c
  3. 高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会
    消費者庁は10月16日、高齢者や障がい者の地域見守り活動についての情報共有化をめざして「高齢消費者・c
  4. 米消費者製品安全委員会
    米国消費者製品安全委員会(CPSC)は11月18日、複数の事故が発生していることを把握していながら直c
  5. 電話相談
    ◎全国有料老人ホーム協会が開設 経験豊富な相談員が対応 公益社団法人全国有料老人ホーム協会(有老協c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る