【豪州】依然続く金融アドバイザーの利益相反 不信感ピークに

豪州の消費者団体CHOICEは6月6日、ファイナンシャル・アドバイザーによる利益相反行為が今もなお続いているとして、政府に規制強化と被害救済を求めた。同業界を巡っては、大手資産管理会社ディクソン・アドバイザリーに対する集団訴訟が起きるなど不信感が強まっている。同団体によるアンケート調査でも7割の人が「(契約している)ファイナンシャル・アドバイザーは信用できない」と回答していた。

豪州では2013年にFOFA改革(Future of Financial Advice)が断行され、ファイナンシャル・アドバイザーに対し、金融機関からの謝礼金(いわゆるキックバック)の禁止と「最善の利益」(顧客の利益を最優先に行動する)義務が課せられた。

しかし、水面下でキックバック付き金融商品を顧客に勧めたり、自社の利益を追求したアドバイスをしたりするなどの利益相反行為が続けられ、今回のディクソン・アドバイザリー事件で一気に表面化した。被害者の1人で、ブルーチップと呼ばれる優良企業への低リスク投資を実践していた女性は「ディクソンは持ち株を売るよう執拗に迫った。承諾するまで電話を切らせず、まるで悪徳業者のようだった」とCHOICEに報告。国の救済制度に最大55万豪ドル(約5300万円)の補償を申請したという。

FOFA改革の実現は、CHOICEが25年近く続けた請願運動の集大成といえるもの。同団体は「我々は業界の信頼回復を願って規制を求めてきたが、規制後も変わろうとしなかった。最善の利益義務を怠り、2件の集団訴訟にまで発展した」とコメント。政府に対し▽規制対象外だった残りの利害行為の禁止▽公的・独立したファイナンシャル・アドバイス機関の設置▽不正行為に対する被害救済制度の創設――を求めた。

1200人を対象としたCHOICEのアンケート調査では、70%の人が「手数料を支払っているファイナンシャル・アドバイザーを信頼していない」と回答したという。

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