【欧州】消費者団体がゲームガチャ規制を要請 禁止も視野に

欧州各国の消費者団体でつくるBEUCは5月31日、ビデオゲームの中で販売される「ルートボックス」(くじ引き方式のアイテム箱、日本におけるガチャ)について、未成年を狙って欺瞞的な宣伝手法が行われているなどとして、各国政府に規制を求めた。規制後もトラブルが解消されなければ全面禁止を検討すべきだとしている。

BEUCは「ゲーム業界はルートボックスを購入させようと様々なトリックを採用し、不公正な形でお金を略奪している。大人でさえも誘導され、大金をつぎ込んでしまう事例が多数報告されており、明らかに経済的害悪をもたらしている」などと指摘している。

ルートボックスは「ミステリーパッケージ」とも呼ばれ、ゲーム内で購入するアイテム入りの箱のこと。どのアイテムが当たったかは箱を開くまでわからず、貴重なアイテムほど当選確率が低くなる。レアアイテム欲しさに多額の現金をつぎ込む事例が報告されていて、販売・宣伝手法を巡り、すでに世界各国で問題化している。

ルートボックスの問題点について、BEUCに加盟するノルウェー消費者機構(NCC)は「購入させるためにダークパターン(欺瞞的なサイト設計)を用いたり、消費者の認知バイアスと脆弱性を悪用したりしている」と指摘。ゲーム内の仮想マネーで購入させることで感覚を麻痺させていることや、未成年者を狙った宣伝が行われていることも大きな問題だとした。

かつてはニッチだったビデオゲーム市場も、いまや世界数十億人が参加する最大のエンターテイメント産業へと成長。収益源もゲーム販売からゲーム内課金へと重点が移りつつあり、ルートボックス商法に向けられる目はますます厳しくなっている。

NCCは「我々はルートボックスといったゲーム内課金を問題視しているのではない。公正でオープンな方法で販売するべきだと言っているのだ」と強調。BEUCとともに各国政府に規制を呼びかけ、▽ダークパターンの禁止▽ゲーム内マネーとリアルマネーの併記▽未成年者が利用するゲームでのルートボックスの販売禁止▽販売アイテムの透明性の向上(アルゴリズムの開示や消費者への告知など)▽ゲーム市場のおける消費者保護と権利の確保――といった規定を盛り込むよう求めた。さらに、それでも問題が解消されない場合は有料ルートボックスの禁止措置を検討するよう要請した。

ルートボックスの世界販売額は2025年までに200億ドル(約2兆6000億円)を超える見通しだという。

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