ロシア製ウイルスソフト 英消費者団体が「買い推奨」付与せず

ロシアのサイバーセキュリティ企業「カスペルスキー(Kaspersky)」のウイルスソフトについて、英国の消費者団体Which?は4月6日、商品テストで高評価を得たものの「買い推奨」を付与しないことを明らかにした。ウクライナ侵攻によるロシアと西側諸国との関係悪化を理由にあげている。Which?は「同社の製品はマルウェアへの優れた保護性能を持っているが、(この状況下で)消費者に推奨することは正しくないと判断した」と説明した。

カスペルスキー社のウイルスソフトを巡っては、英諜報機関の政府通信本部(GCHQ)の一部門である国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)が先週、使用に関するアドバイスを更新。「ロシア政府が今後、自国の民間企業に対して戦争への支援について圧力をかける可能性がある」と懸念を表明したものの、個人のパソコンでの使用については「直接的に標的にされる可能性は非常に低い」「現時点では使用しても安全だ」との見解を示した。一方で、「ロシア製品を使っているかどうかにかかわらず、英国のほぼすべての個人および企業がロシアのサイバー攻撃の標的になる可能性は排除できない」と警戒感を示し、対策を呼びかけた。

Which?が3月に実施したウイルス対策製品の商品テストでは、カスペルスキー社の2製品が高評価を獲得したが、考慮の末、「買い推奨(BestBuy)」の付与を見送った。同団体は「私たちはNCSCと同様、カスペルスキー製品の使用停止を勧めておらず、購入しないようアドバイスしているわけでもない」と説明しながらも、「現時点では他の優れた製品を推奨したい」とする考えを示した。

ロシアのウクライナ侵攻では、それぞれの国、企業、団体、個人がどう対応するのか、難しい決断を迫られている。Which?は「同社の製品を使うか使わないかは消費者個人の見解と自己のリスクに対する評価にかかっている」と問いかけ、リスクの一つとして、英政府の制裁がロシア製品にまで及んだ場合、ソフトのアップデートや更新が行われなくなる可能性をあげている。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会
    消費者庁は10月16日、高齢者や障がい者の地域見守り活動についての情報共有化をめざして「高齢消費者・c
  2. 米消費者製品安全委員会
    米国消費者製品安全委員会(CPSC)は11月18日、複数の事故が発生していることを把握していながら直c
  3. 電話相談
    ◎全国有料老人ホーム協会が開設 経験豊富な相談員が対応 公益社団法人全国有料老人ホーム協会(有老協c
  4. JAPA中下裕子代表理事
    ◎東京消費者団体連絡センター主催の学習会で PFAS(有機フッ素化合物)問題への理解を深めようと、c
  5. 英国の消費者団体Which?
    英国の消費者団体Which?は11月14日、5月に施行された「反グリーンウォッシュ規則」などへの違反c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る