東京都被害救済委、脱毛エステ・健康食品など3件解決

東京都消費者被害救済委員会は1月30日に総会を開き、年度途中ながら今年度の審議経緯について、あっせん解決3件、審議中2件と説明した。あっせん解決案件では、各地消費生活の相談に活用された例もある。

東京都被害救済委員会の総会は昨年度から一部公開となり、それまでの付託事項や検討結果が報告されることとなった。今年度は5件の消費者紛争案件を検討し、うち3件があっせん解決、2件が審議中であることがわかった。

東京都消費者被害救済委員会

東京都消費者被害救済委員会の今年度総会の様子。「迅速にあっせん解決」ー。全国にモデル案示す(1月30日)

あっせん解決案件は、「脱毛エステの中途解約に係る紛争」(解決は平成29年4月)、「いわゆる健康食品の定期購入に係る紛争」(同9月)、「エステ及び関連商品に係る紛争」(同8月)の3件。審議中の案件は昨年7月に同被害救済委員会に付託された「求人広告に応募したスキル不足を理由に誘因された入力業務習得講座の解約に係る紛争」と昨年10月付託の「オーディション合格を契機としたレッスン契約に係る紛争」の2件。

5件の付託案件は、東京都消費生活総合センターだけではなく、区市の消費生活センターから解決を依頼されたものもあり、紛争の重大性、専門性など、解決にあたってその内容が広く参考にできる紛争が選定されている。

脱毛エステの中途解約紛争は、20代女性がエステサービス業者を相手方として申し立てたもの。脱毛サービスの効果を感じられない消費者が中途解約を申し出たところ、「全身は無制限の脱毛し放題、顔は12回という説明だったのに、中途解約では8回分の高い単価で清算を求められた。納得できない」という内容。同被害救済委員会のあっせん案は「全身脱毛について12回で単価を清算し直し、提供済み役務対価相当額を算定、解約損料の請求は認めない」というもので、このあっせん案に消費者・事業者双方が同意し解決した。

「いわゆる健康食品の定期購入紛争」は、30代から50代の4人の消費者(いずれも女性)がインタ―ネット通販業者を相手としたもの。「お試し」「500円」だと思っていた購入契約が「定期購入だった」「解約したい」という紛争事案。あっせん案は、「サプリメント1個500円で購入する契約が成立している」「2個目以降の送付商品についてネット通販業者は所有権を放棄し、その返還を消費者に求めない」「過誤払いした申立人には過誤払い分の全額を返還する」などを提示、双方合意となった。

「エステ及び関連商品解約紛争」では、エステ施術とそれに付随したサプリメント購入契約に関する解約が争点。あっせん案は、実際のサービス提供代金と未施術分代金の10%を消費者が負担、余りの金額を事業者が消費者に返還することを提示。また、サプリメントについては消費者が未使用分を事業者に返還。事業者はその代金分を消費者に返還することで合意した。

一方、現在審議中の案件は次の2件。

まず、求人広告に応募したところ、スキル不足を理由に誘因されたという「入力業務習得講座の解約紛争」。紹介された講座を受ければ仕事がもらえると説明され、約50万円の講座を契約したものの、収入になる仕事が提供されないことから、会社とスクールに解約・返金を申し立てた。申し立てた消費者は40歳代女性。

もう一つは、20歳代の大学生女性が、新作映画メインキャスト募集のオーディションサイトを見て応募し合格したものの、レッスン代金は入学金と受講料合計で約70万円、クレジット払いでの総額は約95万円にもなることが判明。受講前にやめようと思って書面で解約を申し出たら、入学金48万円を支払うように求められたというもの。

同被害救済委員会は、「指針提示型」と「迅速解決型」という2つの部会で構成され、上記2例は、「迅速解決型部会」で審議中だ。

あっせん解決案は各地消費生活センターでも活用されていることから、どのようなあっせん案が提示されるか、注目されている。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. パブリック・シチズン
    米国の消費者団体パブリック・シチズンのロバート・スタインブルック博士は11月21日、米食品医薬品局(c
  2. ETOC
    特殊詐欺グループと知りながら電話回線を提供する反社会的な電話事業者が存在することから、通信系の5団体c
  3. 高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会
    消費者庁は10月16日、高齢者や障がい者の地域見守り活動についての情報共有化をめざして「高齢消費者・c
  4. 米消費者製品安全委員会
    米国消費者製品安全委員会(CPSC)は11月18日、複数の事故が発生していることを把握していながら直c
  5. 電話相談
    ◎全国有料老人ホーム協会が開設 経験豊富な相談員が対応 公益社団法人全国有料老人ホーム協会(有老協c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る