東京都被害救済委、脱毛エステ・健康食品など3件解決
- 2018/2/5
- くらし
東京都消費者被害救済委員会は1月30日に総会を開き、年度途中ながら今年度の審議経緯について、あっせん解決3件、審議中2件と説明した。あっせん解決案件では、各地消費生活の相談に活用された例もある。
東京都被害救済委員会の総会は昨年度から一部公開となり、それまでの付託事項や検討結果が報告されることとなった。今年度は5件の消費者紛争案件を検討し、うち3件があっせん解決、2件が審議中であることがわかった。
あっせん解決案件は、「脱毛エステの中途解約に係る紛争」(解決は平成29年4月)、「いわゆる健康食品の定期購入に係る紛争」(同9月)、「エステ及び関連商品に係る紛争」(同8月)の3件。審議中の案件は昨年7月に同被害救済委員会に付託された「求人広告に応募したスキル不足を理由に誘因された入力業務習得講座の解約に係る紛争」と昨年10月付託の「オーディション合格を契機としたレッスン契約に係る紛争」の2件。
5件の付託案件は、東京都消費生活総合センターだけではなく、区市の消費生活センターから解決を依頼されたものもあり、紛争の重大性、専門性など、解決にあたってその内容が広く参考にできる紛争が選定されている。
脱毛エステの中途解約紛争は、20代女性がエステサービス業者を相手方として申し立てたもの。脱毛サービスの効果を感じられない消費者が中途解約を申し出たところ、「全身は無制限の脱毛し放題、顔は12回という説明だったのに、中途解約では8回分の高い単価で清算を求められた。納得できない」という内容。同被害救済委員会のあっせん案は「全身脱毛について12回で単価を清算し直し、提供済み役務対価相当額を算定、解約損料の請求は認めない」というもので、このあっせん案に消費者・事業者双方が同意し解決した。
「いわゆる健康食品の定期購入紛争」は、30代から50代の4人の消費者(いずれも女性)がインタ―ネット通販業者を相手としたもの。「お試し」「500円」だと思っていた購入契約が「定期購入だった」「解約したい」という紛争事案。あっせん案は、「サプリメント1個500円で購入する契約が成立している」「2個目以降の送付商品についてネット通販業者は所有権を放棄し、その返還を消費者に求めない」「過誤払いした申立人には過誤払い分の全額を返還する」などを提示、双方合意となった。
「エステ及び関連商品解約紛争」では、エステ施術とそれに付随したサプリメント購入契約に関する解約が争点。あっせん案は、実際のサービス提供代金と未施術分代金の10%を消費者が負担、余りの金額を事業者が消費者に返還することを提示。また、サプリメントについては消費者が未使用分を事業者に返還。事業者はその代金分を消費者に返還することで合意した。
一方、現在審議中の案件は次の2件。
まず、求人広告に応募したところ、スキル不足を理由に誘因されたという「入力業務習得講座の解約紛争」。紹介された講座を受ければ仕事がもらえると説明され、約50万円の講座を契約したものの、収入になる仕事が提供されないことから、会社とスクールに解約・返金を申し立てた。申し立てた消費者は40歳代女性。
もう一つは、20歳代の大学生女性が、新作映画メインキャスト募集のオーディションサイトを見て応募し合格したものの、レッスン代金は入学金と受講料合計で約70万円、クレジット払いでの総額は約95万円にもなることが判明。受講前にやめようと思って書面で解約を申し出たら、入学金48万円を支払うように求められたというもの。
同被害救済委員会は、「指針提示型」と「迅速解決型」という2つの部会で構成され、上記2例は、「迅速解決型部会」で審議中だ。
あっせん解決案は各地消費生活センターでも活用されていることから、どのようなあっせん案が提示されるか、注目されている。