米国で相次ぐスプレー製品へのベンゼン混入 非営利団体が懸念
- 2021/12/23
- 海外
米国でスプレー製品への発がん物質ベンゼンの混入が相次いでいる問題で、非営利団体のU.S.PIRGは12月21日、「消費者の手に渡る前にメーカーは試験を行って流通しないようにするべきだ」と懸念を表明した。ベンゼン混入スプレー製品を巡っては4月以降、8件のリコールがたて続けに実施されている。直近の事例は、米P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)が12月17日にリコールの発表をした30製品以上のドライシャンプー。
U.S.PIRGによると、春以降、エアゾールスプレー製品へのベンゼン混入が相次いで発覚し、4月28日のScentsational Soaps&Candlesの手指消毒剤を皮切りに、7月にコパトーンの日焼け止め、9月にジョンソン&ジョンソンの日焼け止め、10月にバイエルの水虫治療薬など、P&Gを含めて8件の自主回収が行われる事態となっている。
医薬品分析機関のValisureは11月、「制汗剤やボディスプレーなど59製品に深刻な健康リスクを招くベンゼンが高レベルで含まれていた」との調査結果を公表し、米食品医薬品局(FDA)に対応措置を要請。噴霧剤として使われるブタンやアルコール、プロパン、ハイドロフルオロカーボン類からベンゼンが検出されたと報告した。
FDAはベンゼンを許容できない毒性を持つ溶剤に分類し、医薬品などの製造に使用すべきではないとしている。しかし、製造上使用が避けられない場合(貴重な医薬品の製造やパンデミックなどの緊急事態などのケース)に限り、一時的な措置として2ppmを制限に使用を許可している。Valisureの調査では、制限値の最大9倍ものベンゼンが検出されたと指摘している。
U.S.PIRGは「身近なスプレー製品でベンゼン関連のリコールが相次ぐことは憂慮すべき事態であり、事前にベンゼンの有無をテストしてから販売すべきだ」と指摘。「FDAはヘアスプレーなどのスプレー製品に関するベンゼン残留制限値を明確にしていないが、消費者向けの製品はゼロにするのが当然だ」と訴えている。