【豪州】お酒即配サービスが人気 若者の飲酒助長する問題も
- 2021/10/5
- 海外
コロナ禍において自宅でお酒を飲む機会が増えているが、オーストラリアの大都市部では酒類の即配サービスが人気となっている。ピザの宅配と同様、30分以内に届けてくれる業者も登場しているが、豪州の消費者団体CHOICEは主要6社の配送料やサービスを比較する調査を実施した。また、CHOICEによると、同サービスが若者の飲酒を助長するとの問題指摘が出始めており、州が規制を強化する動きもみられるという。
同サービスの注文方法は各社ほぼ同じ。注文サイトで郵便番号と住所を入力すると、配達可能地域、配達時間などの条件が表示される。それらを確認後、欲しい商品を入力し、アカウントを作成してIDを発行してもらう。支払い(クレジットカードか電子決済)を済ませると、配達員をアプリで追跡できるようになる。玄関に到着した配達員にIDを提示する(成人であることを示す必要がある)と、商品が手渡される仕組みだ。
ピザ並みの30分以内の配達をうたうのは「JIMMY BRINGS」。シドニー、メルボルン、キャンベラ、ブリスベン、アデレード、サンシャインコースト、ゴールドコースト、パースでサービスを展開し、配送料はわずか4.95~6.50ドル。20ドル以上の注文が必要だが、サービスエリア、時間、料金で他社を圧倒する。
「Liquoroo」は平均30分での配達をうたい、配送料は最低5ドル。店舗からの距離に応じて加算されていく。「Tipple」は58分以内の配達、料金は7.95ドルの定額制。「BWS ASAP Delivery」は1時間以内の配達、料金は10ドルの定額制。翌日配送は無料となる。「Dan Murphy’s Delivery Now」は2時間以内の配達で、15ドルの定額制。「Booze Bud Same Day delivery」は即日配達で、午前9時までの注文は午後1時~午後6時もしくは午後5時~午後10時までの間に届ける。料金は9.9ドル。
お酒をわずか数十分で届けてくれるサービスは大変便利だが、ラ・トローブ大学のアルコール研究教育財団の最新調査によると、本来ならお開きになっていた飲み会がさらに延長されるケースがみられ、同サービスの利用者の多くが若者(18歳~29歳)だったという。また、別の調査では、同サービスの利用者は危険な飲酒をする傾向があり、酩酊状態や傷害を経験する可能性が高かった。
IDチェックが適切に行われていないケースも報告されており、NSW州は今年7月、規制を強化して、事業者に受取人の成人・身元確認を義務付けたほか、受取人が酔っていた場合、配達を拒否するよう求めたという。