人工芝の長短所を考察 豪消費者団体、最終結論は「お勧め」

豪州の消費者団体CHOICEは9月3日、人工芝のメリット・デメリットを検証する記事を公表。手入れの手間や費用、環境負荷などを天然芝と比較し、最終結論としては「全体的にはメリットがデメリットを上回る」とする意見を紹介した。人工芝を敷いて6年が経過した消費者の一人は「ある程度のメンテナンスが必要だが、設置したことを非常に満足している」と答えたという。

人工芝は芝刈り、水やり、肥料・除草剤などの必要がなく、一年中地面を青々と維持できるのが大きな魅力。購入・敷設費用は天然芝の約2倍になるが、高品質な製品は最大25年持つといわれる。品質についての保証期間はおおむね7~10年だが、一部メーカーは生涯保証を提供している。

人工芝の注意点としては、やけどや熱中症のおそれがあること。特に幼児は症状が重くなる危険性がある。ウェスタンシドニー大学准教授のセバスチャン・ファウチ氏は「日陰のない真夏の人工芝の表面温度は最高100℃に達する可能性がある」と指摘。数秒触れただけでやけどする危険性があり、保育所でも事故が発生しているという。また、輻射熱により芝の上の温度が大幅に上昇する可能性があり、「気温がさほど高くない時でも、日なたの人工芝の上では子どもの熱中症、脱水症状、熱疲労に気をつけてほしい」と呼びかけた。一部のメーカーは熱問題を解決するため、「クール」対策製品を販売しているという。

一方、環境面では水・農薬・肥料を使う必要がないため天然芝よりも優位性がある。メーカーによる「環境に優しい」との宣伝も、ある面では的を得ているといえるが、専門家は「それほど単純ではない」と指摘する。チャールズスタート大学で講師を務めるセリア・コナー氏は「土壌にプラスチック層を敷き詰めるため、生態系と多様性を破壊する可能性がある」と警告。また、ファウチ氏、コナー氏ともにマイクロプラスチックの環境への漏出リスクを指摘し、「今後5年程度をめどに持続可能な代替品が販売されることに期待する」と語った。現在、各メーカーは100%プラスチック製人工芝に代わる環境配慮型製品の開発を急いでおり、一部メーカーではサトウキビ60%の人工芝の発売を開始したという。

2015年に娘のホッケー練習用に人工芝(40平方メートル)を設置した消費者は「敷いてから6年になるが非常に満足している」と回答。「雑草が出てくるが、手で簡単に引き抜くことができる。雨で地面が浸食されて表面がでこぼこすることがあるため、人工芝を持ちあげて砂を補充する必要がある」と語った。「夏は人工芝の上に直接座らず、タオルを敷くこと」、「芝の上に寝転がった娘に発疹が出たことがあり、一部の人にとっては反応する可能性があるようだ」などの注意点も披露したが、「全体的にはメリットがデメリットを上回っている。我が家に適していると思うのであれば、検討することを強くお勧めする」と推奨したという。

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