生協宅配の配達ルート、AI活用し最適化 実証実験で成果

AIを活用して全国生協宅配の配達コースの最適化をはかる実証実験の進捗状況が、日本生活協同組合連合会の記者会見で発表された。従来の手作業や既存ソフトでのコース設計と比べて、時間にして15%、距離にして9.7%の削減効果が確認され、日本生協連の藤井喜継専務は「著しい効果があるとの印象。現在、実走テストに取り組んでいて、効果が確認できれば、早急に全国の生協に紹介して広げていきたい」と報告した。

日本生協連記者会見

DXの取り組みやプラスチック削減などの進捗状況が報告された日本生協連記者会見。中央が土屋敏夫会長、左が藤井喜継専務、右が嶋田裕之専務(7月15日、東京ミッドタウンタワーにて)

AIによる配達ルート最適化は、生協が取り組むDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の一環。配送時間や走行距離を短縮して、職員の負担軽減と組合員へのサービス品質向上につなげる狙いだ。

今年5月から始めた実証実験では、スタートアップ企業が手がけるAIソリューション「Loogia」を使い、コープあいち三好センターにおける配達コース(配達先908カ所、22コース)の最適化をシミュレーションした。3回ほど解析した結果、配達コース数で3コース(13.6%)削減、総配達時間で22時間34分(15.0%)削減、総走行距離で54キロメートル(9.7%)削減を実証した。

藤井専務は「従来のソフトだと配達先の集中エリアにまとまって配達するようなコース取りをするが、AIは円を描くように無駄なく配達コースを組む傾向があった」と説明。その結果、AIの配送計画は移動距離に対する配送処理件数が多くなると報告した。現在、実走による実験に取り組み、効果や課題を精査中。成果が確認でき次第、順次導入を進めていく考えだ。

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