昨年の食中毒件数、アニサキス最多 3年連続 サバで86件
- 2021/7/14
- 食品
厚生労働省がまとめた2020年食中毒発生状況によると、国内で発生した食中毒件数は887件で、前年よりも174件減少した。一方、患者数は1595人増の1万4613件となり、3人が死亡。500人以上の患者が出た食中毒事例も3件発生し(前年は発生なし)、埼玉県八潮市で昨年6月、給食に出た海藻サラダを食べた児童生徒ら約3千人が食中毒となる事例などが起きていた。
887件の食中毒事例を病因物質別でみると、アニサキスが386件と最多。次いでカンピロバクターが182件、ノロウイルスが99件などと続いた。
アニサキス食中毒はこの数年増加が目立ち、17年242件、18年478件、19年336件、20年396件と推移。18年にはカンピロバクターを抜き、3年連続で第1位となっている。カツオでの食中毒が多発した年もあったが、昨年の原因食品は、「不明」(刺身盛り合わせなどを食べ、原因食品を特定できなかったもの)が148件、サバが86件、アジが36件、カツオが12件だった。
厚労省はアニサキス食中毒予防として、毎週金曜日にツイッターで広く注意喚起するとともに、同省ホームページで飲食・販売店向けに対策を呼びかけてきた。アニサキス食中毒の50%以上が飲食店・販売店で発生しているといい、▽新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除く▽魚の内臓を生で提供しない▽目視で確認してアニサキス幼虫を除去する――ことが重要だとする。冷凍(-20℃で24時間)、加熱(70℃以上、または60℃なら1分)も有効だが、料理用のお酢、塩漬け、しょうゆ、わさびでは死滅しないと説明している。
また、死者が発生した食中毒3件はいずれも家庭で発生。3人とも70歳代以上の男性で、それぞれグロリオサ球根、野生のキノコ、ふぐが原因食品だった。同省は有毒植物やキノコについて、「食用と確実に判断できない場合は、絶対に採らない、食べない、売らない、人にあげない」よう警告している。