保険の不当差別抑止 人種や性別などのデータ使用制限 米国

米コロラド州のジャレッド・ポリス知事は7月6日、保険会社に人種や性別、性的指向などの外部データの使用を制限する保険改革法案に署名した。保険業界における不当な差別から消費者を保護すことが狙い。これを受け、アメリカ消費者連盟(CFA)は「保険市場における公平性の勝利だ」と称賛する声明を発表した。

保険改革法案(SB21-169)は、保険会社に対し、人種や肌の色、民族、国籍、宗教、性別、性的指向などの外部データと差別的なアルゴリズムや予測モデルの使用を禁じるもの。例えば自動車保険の場合、運転履歴だけではなく人種、性別、クレジットスコア、職業、学歴、郵便番号(居住区)、結婚状況などの外部データが使われ、保険料がはじき出されていた。

CFAの調査では、コロラド州の保険大手10社に無事故・無違反のドライバー(35歳)の保険見積もりを取ったところ、クレジットスコアが最上位の「エクセレント」を持つドライバーの年間保険料は平均592ドルだったが、真ん中の「フェア」のドライバーでは785ドルと、33%のペナルティを課されていた。スコアが低位のドライバーは無事故でも1019ドル(72%増)と高額だった。

この法案を巡り、保険業界は「コロラド州から撤退する保険会社が出てくる」「最終的には契約者すべての保険料の値上がりにつながる」などと強く反発していた。

CFAは「自動車保険で行われている複雑なアルゴリズムや予測モデルは構造的な人種差別や不当な差別を定着させる恐れがある。法案は保険会社の慣行を一掃するものではないが、不当な差別が見つかった場合、改善されることを保証する力を持つ」とコメントしている。

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