【米国】抗生物質の家畜向け販売量、2年連続増加 養豚で増加

米食品医薬品局(FDA)の最新統計によると、医学的に重要な抗生物質の家畜生産向け販売量は2018年から19年にかけて3%増加した。養鶏向けの販売量が13%減少したものの、養牛向けが微増、養豚向けが9%増となった。これを受け、非営利団体のU.S.PIRGは耐性菌問題に警鐘を鳴らし、使用禁止措置を求める声明を出した。

FDAによると、2019年における医学的に重要な抗生物質の家畜向け販売量は前年比3%増の推定618万9260キログラムとなり、2年連続の増加。販売量が最も多かった2015年との比較では25%の減少だった。

家畜別では、養牛向けが41%、養豚向けが42%、養鶏向けが3%、七面鳥向けが10%、その他が4%。養豚向けは前年との比較で販売量が増えて9%増。養牛も1%増となった。一方、養鶏向けは13%減、七面鳥も4%減と減少した。

また、最も使われた抗生物質はテトラサイクリンで、4%増の411万7031キログラム。全販売量の67%を占めた。次いでペニシリン(全体の12%)、マクロライド(同8%)、アミノグリコシド(同5%)などと続いた。

医学的に重要な抗生物質の家畜向け販売量は2015年(970万2943キログラム)にピークをつけ、17年(555万9212キログラム)には大きく減少していた。しかし、18年は603万2298キログラム(前年比9%増)、19年は618万9260キログラム(同3%増)と2年連続で増加した。

この結果を受け、食品政策を監視する非営利団体U.S.PIRGは声明を発表。「家畜への医学的に重要な抗生物質の乱用は耐性菌問題の主因の一つだ。販売量の83%が養牛・養豚向けで、近年、豚への使用が急増している」と指摘。「抗生物質がヒトの病気に効果を発揮しなくなるという事態は、現代医学の時計を過去へと巻き戻すことになる」と強く警告し、連邦政府に対して使用禁止措置に踏み切るよう求めた。

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