【豪州】卵の「放し飼い」表示、定義ばらばら アプリで確認を
- 2020/12/3
- 海外
豪州の消費者団体CHOICEは11月30日、卵の「放し飼い(フリーレンジ)」表示の定義が生産者によって異なるとして、自主開発したアプリで内容を確認するよう呼びかけた。同団体の調査では、1ヘクタール当たりの飼育数が50羽以下のものもあれば最大1万羽のものもあり、内容が大きく異なっていた。CHOICEは「表示の裏側を正しく理解し、あなたの期待に沿った放し飼い卵を購入してほしい」と呼びかけている。
動物福祉の意識が高いオーストラリアでは、多少値が張るものの「放し飼い」卵のニーズは高く、各地の生産者や大手スーパーが様々なブランドを販売している。一方で、「放し飼い」表示に明確な定義はなく、業界団体や動物福祉団体などが様々な基準を設定している状況。表示や基準の乱立を受け、豪政府は2017年、一定のガイドラインを示したが、「1ヘクタール当たり1万羽まで」と基準が緩い上、表示は任意。厳格な統一基準を求めていた消費者団体などから「消費者を完全に失望させた」と不評を買っていた。
調査では、豪連邦科学産業研究機構(CSIRO)が示したモデル基準「1ヘクタール当たり1500羽まで」をベンチマークとして飼育密度や飼育方法などを評価。その結果、大手スーパー、コールズの「有機放し飼い卵」は1ヘクタール当たりの飼育数が1500羽だったが、同社の「放し飼い卵」は1万羽、同じく大手のアルディ「ロッジファーム放し飼い卵」も1万羽とブランドによって大きな格差があった。50羽以下を基準としている生産者も少なくなく、ニューサウスウェールズ州で販売されている「アランデール放し飼い卵」はわずか8羽だった。
また、飼育基準も生産者によりばらばらで、自由に野外に出られる設備、人目につかない産卵場所、砂場の有無など環境が大きく異なるという。
CHOICEは無料のスマートフォンアプリ「CluckAR(放し飼い卵検出アプリ)」を開発して、飼育密度や飼育環境のランク付け情報を無料で提供している。スマホのカメラを卵パックに向けると情報が表示される仕組み。同団体は「放し飼い卵は値段が高い。正確な情報を得たうえで、あなたの期待に沿う卵を選んでほしい」と呼びかけている。