健康食品の摂取「信頼できる情報もとに判断を」 消団連学習会
- 2020/9/28
- 食品
インターネット上に健康をアピールする食品があふれる中、全国消費者団体連絡会は9月25日、健康食品との付き合い方を学ぶオンライン学習会を開いた。食品安全委員会リスクコミュニケーション官の秋元京子さんが講師を務め、2015年12月に公表した「19のメッセージ」を改めて解説。秋元さんは「特定保健用食品(トクホ)を含めた健康食品は多くの場合、健康な成人が対象。信頼できる情報をもとに摂るかどうかを判断してほしい」と呼びかけた。
19のメッセージは、被害事例を科学的に検証して、その要点を取りまとめた報告書を国民に向けてわかりやすくメッセージ化したもの。健康食品による被害が相次ぐことを受け、摂取するかどうかの判断に役立ててもらうおうと約5年前に公表された。
講演した秋元さんは、4人中3人の人が健康食品の利用経験を持つことや、利用者の4%が体調不良を訴えたとするデータなどを示し、19のメッセージを改めて解説した。
食品の安全性の基本的な考え方として「どんなものでも毒か毒でないかは量で決まる」と強調。「健康食品を摂るかどうかは消費者自身の選択であり、有効性も消費者が自己評価することになる。まずは被害を避けることが大切だ」と呼びかけた。
注意点としては過剰摂取に気をつけるよう指摘。ビタミン・ミネラル類は通常の食事でほぼほぼ足りているとし、「マルチビタミン製品を摂ると、すでに足りているビタミン類を過剰に摂取してしまうおそれがある」と警告した。
様々な製品が登場しているダイエットや筋肉増強をうたうサプリメントについては、「ヒトでの安全性が実証されている健康食品はほとんどない」とし、食べて痩せる、何らかの生理的効果があると強調する場合は有害物である可能性が高いと解説した。
さらに、インターネット上で飛び交う広告宣伝や健康情報についても言及。「体験談はあくまでも個人の経験。必ずしも効果を保証するものではない」としたほか、「根拠として示されたデータが、学会発表ではなく論文報告であるかを確認すること。論文報告は第三者による査読が行われ、科学的なエビデンスが高くなる」と説明した。
秋元さんは最後に「健康食品の情報は製造する側、販売する側のものが多く、被害が発生しても把握しにくい、伝わりにくいという実態がある。何よりも健康食品を摂るかどうかの選択は消費者自身に任されているので、信頼できる情報をもとに、自身の健康にとって何が役立つかを考えて摂るかどうかを選択してもらいたい」と呼びかけた。
オンライン講座には全国から48人が参加し、トクホの品質管理や販売規制などに関する質疑が交わされた。利用者の4%が何らかの不調を訴えていることについては、「個人的な感想だが多いという印象だ。健康被害が報告されにくい現状にあって、危機感を感じる」と回答した。