スマートスピーカーによる“盗聴”、さほど心配なし 米研究
- 2020/7/10
- 海外
スマートスピーカーが勝手に起動し、私たちの会話を盗聴しているのではないか――。こうした心配の声が多いことから、米消費者情報誌コンシューマーリポートは7月9日、ノースイースタン大学研究チームの実験結果を紹介し、「一部の人が懸念するほどの深刻な問題ではない」と報告した。実験では、起動させるためのウェイクワード以外の言葉に反応して誤作動を起こしたが、多くの場合、数秒後に録音を停止したという。
研究者らはアマゾンのアレクサ、アップルのシリ、Googleアシスタント、マイクロソフトのコルタナ(Cortana)を使って実験を開始。複数の人気テレビ番組の音声を流し、起動するかどうかを調べた。
その結果、ウェイクワード以外の言葉でも誤作動することがあり、その頻度は最大で1時間に1回の割合で発生する可能性があった。しかし、多くがミスに気付いて数秒後、長くても数十秒後には録音を停止。さらに、同じ言葉では反応しにくくなり、誤作動を繰り返さないようになった。誤作動を引き起こした言葉は「Hey, Missy」(Hey, Siri.と類似)や「okay to go」(Hey,google.と類似)などウェイクワードとよく似ている言葉だった。
実験結果について、研究者らは「スマートスピーカーが常時、録音をしているという懸念を裏付ける証拠は出てこなかった」と考察。ただし「起動してはいけない時にも起動するため、プライバシーに関するリスクを引き起こす可能性がある」と強調した。
コンシューマーリポートのテクノロジーポリシー担当者は「誤作動による録音データは、企業にとってそれほど価値がないものだと思われるが、それがどのように使用(処理)されているのかを消費者は知らされていない」と指摘している。