違法ロボコール10億回、過去最高の罰金 違反抑止には疑問符

米連邦通信委員会(FCC)は6月10日、健康保険を勧誘するために10億回もの違法なロボコール(自動音声による電話)をかけていたとして、テキサスに拠点を置くテレマーケティング会社に対し、過去最高額となる2億2500万ドル(約240億円)の罰金を科す意向を表明した。

これを受け、消費者情報誌のコンシューマーリポートは「歴史的な罰金の提案を歓迎する」との声明を出す一方で、「罰金が違反行為の抑止につながるのは難しい」との見解を示した。過去の高額罰金事案でも徴収できたのはわずか数千ドルだったといい、高額な罰金措置の効果を疑問視している。

問題の業者はライジングイーグル(Rising Eagle)。FCCによると、同社は2019年1月~4月旬にかけて、大手保険会社などを装い、代理店などを通じて全国で10億回ものロボコールを発信。勧誘電話拒否登録(Do Not Call)をしている消費者にも故意に電話をかけるなどしていた。

2億2500万ドルの罰金提案はFCCの86年の歴史の中で過去最高額。一方で、実際に全額を徴収できるかは疑問視されていて、5人のFCC委員のうち1人も「近年、ロボコール業者に対して目を見張るような数億ドルもの罰金を科してきたが、ほとんど何も得られなかった」と発言した。この委員はウォールストリートジャーナルの記事を示し、2019年に2億800万ドルの罰金を科した事案を紹介。わずか6790ドルしか徴収できなかったと報告していた。

ただし、今回の案件はこれまでと異なり、ライジングイーグル社の2人の経営幹部を対象に罰金を科す方針。個人資産の押収につながる可能性があるという。

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