【欧州】外出できずビタミンD不足に 適宜サプリで補助を
- 2020/4/24
- 海外
サプリメントの大量摂取による過剰摂取が懸念されてきたビタミンDだが、フランスでは摂取不足が問題視されている。フランス消費者同盟(UFC)は4月23日、保健当局が外出禁止の影響によるビタミンD不足を指摘し、サプリメントの活用をアドバイスしたと報じた。UFCは「パンデミック禍では特に有用なビタミンだが、残念ながら見落とされているようだ」としている。
ビタミンDは脂溶性の必須ビタミンで、骨と筋肉の組織を保護するほか、免疫機能の向上作用を持つ。日光浴をすることで体内で合成されるほか、青魚やレバー、卵、乳製品、バターやマーガリン、チーズ、肉類などに含まれる。取りすぎると高カルシウム血症や腎障害、食欲不振などの症状を招くため、許容上限摂取量が設定されているほか、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は不足しがちな栄養素だとする一方で、サプリメントの大量摂取による過剰摂取に注意を呼びかけてきた。
しかし、新型コロナ蔓延により事態が一変。外出禁止や買い物制限などの影響でフランス人のビタミンD不足が顕著になったという。最新調査では国民の大多数がビタミンD不足に陥り、食事からの摂取量不足が主な原因であることが判明した。
ANSESは第一の対策として、ビタミンDの豊富な食事を推奨。週に2回は魚(ニシン、イワシ、サケ、サバなど魚油の多いもの)を食べ、1日2回の乳製品、週に最大500グラムの肉の摂取を勧めた。脂質は野菜から取ることを心掛け、取りすぎに注意を呼びかけた。
次に適度な日光浴を推奨。ANSESの栄養リスク評価担当者は「フランス人の西洋型の食事だけで十分なレベルのビタミンDを摂取することはほぼ不可能だ」として、日光浴の重要性を強調。今の時期は腕まくりをして顔や腕、手を20分程度太陽光に当てると十分な量が得られると説明した。肌の色が濃い人や高齢者は合成能力が低い傾向にあるため要注意だという。
ただ、外出禁止令や買い物制限の影響でこうした対策を実践できない可能性が高く、ANSESは過剰摂取に注意しながらサプリメントを活用してほしいとアドバイスした。
欧州では冬の紫外線不足を補うため、多くの人が春の日光浴を楽しむが、フランス人の生活状況は依然として冬のままだという。