飲料・カフェの「エシカル通信簿」発表 企業の消費者教育に期待
- 2020/4/3
- 食品
消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク(京都市)は3月17日、毎年恒例となった第4回「企業のエシカル通信簿」の結果を発表した。今回はプラスチックごみ問題などで注目が集まる飲料メーカー5社とカフェチェーン5社を対象に実施。「消費者」の項目では、飲料メーカーにおいて、消費者志向経営の推進や消費者関連資格の取得推奨、容器包装の環境対応などの取り組みが確認された。市民ネットは消費者に「通信簿を活用し、買い物行動に反映させてほしい」と呼びかけている。
2016年度以降、第4回目となる今回は飲料・カフェの計10社を対象に調査を実施。「持続可能な開発(SD)」「環境」「消費者」「人権・労働」「社会・社会貢献」「平和・非暴力」「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の7項目について、調査票に対する回答や公開情報などをもとに10段階で評価した(最高は「10」)。回答があった企業はアサヒ、キリン、サントリー、コメダだった。
「消費者」の項目では、飲料5社すべてが企業理念の中で「消費者の利益を重要」ととらえていることが確認できた。カフェ5社ではコメダ、タリーズ、ドトール以外は開示情報から消費者の位置づけを確認できなかった。
プラごみ対策を巡る取り組みでは、キリン、サントリー、アサヒなどが容器包装の軽量化や再生ペット樹脂の利用などに注力していることがわかった。ただ、ペットボトルそのものの削減は限定的だった。
消費者利益の実現に不可欠な従業員研修については、アサヒ、サントリー、コメダが消費者相談員や消費生活アドバイザーの資格取得を奨励しており、「企業内の意識や行動の変革を促す一環といえる」と評価。情報開示については、飲料メーカーの多くが積極的に取り組む中、カフェチェーンでは取り組みが十分ではない企業が一部にあった。
調査結果について、市民ネットは「飲料メーカーは消費者志向経営を取り入れていると感じた」とする一方で、「エシカル消費の実践を通して考えて行動する消費者を育てることが企業にとっても重要な視点になる」と指摘。今後の消費者啓発・教育の取り組みに期待を寄せた。