英国でも買いだめ 消費者団体がスーパーの対策を調査
- 2020/3/12
- 海外
新型コロナウイルスの世界的な拡大が続く中、英国でも生活必需品の買いだめが発生している。消費者団体のWhich?は主要スーパーの買いだめ対策について調査を実施。アズダ、テスコ、ウェイトローズなど大手スーパーが特定アイテムの販売制限に乗り出していることがわかった。
Which?が11日に公表した調査結果によると、大手のテスコは乾燥パスタ、抗菌ワイプ、常温保存ミルク、野菜の缶詰、子ども用医薬品、ペットボトル入り飲料水などを対象に店舗とネット通販で数量制限を実施。ウェイトローズはネット通販で抗菌石鹸と家庭用ワイプの数量制限をおこなった。
ネットスーパーのオカドは数量制限を設けていないものの「大量購入の注文が殺到している」との告知をおこない、配達枠を逃さないよう通常よりも早めに注文しておくよう呼びかけた。アズダは抗菌ハンドジェルを1人2個までに制限。モリソンズは新型コロナ対策とは無関係に、もともとネット通販で手洗い用品と子ども用医薬品の数量制限を実施していた。一方、アルディ、リドル、セインズベリーは数量制限を発表していなかった。
調査会社リテール・エコノミクスのアンケート調査によると、消費者2000人のうち1割が「買いだめをしている」と回答したという。
消費者の買いだめ行動について、英国小売協会(BRC)は「商品の供給に支障をきたしているわけではない。買いだめをする必要はない」とコメント。ボリス・ジョンソン首相も「消費者は責任をもって行動し、(必要な人が必要なアイテムを購入できるよう)他者に配慮してほしい」と呼びかけた。
現時点はもっぱら消費者の買いだめ行動の抑止に重点が置かれているが、専門家からは今後の供給体制を警戒する声があがっている。元セインズベリー最高経営責任者のジャスティン・キング氏は「コロナウイルス感染がさらに拡大するとスーパーも労働不足に陥る。備えが必要だ」と指摘。9日に実施された政府との意見交換では、ビッグ4と呼ばれる大手スーパーの1社が「パンデミックになった場合、業界全体で物流網を維持する必要がある。政府は競争法の停止を準備すべきだ」と要求したこともわかった。政府は倉庫から店舗への夜間配送に関する規制緩和し、配送可能時間を1時間増やす措置を取ったという。
11日にはWHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言するなど新型コロナウイルスを巡る状況は目まぐるしく変化している。Which?は今後もスーパーの最新動向を発信し、消費者に情報提供をしていく方針だ。