【豪州】住宅保険の「火災」の定義ばらばら 政府主導で統一を
- 2020/3/3
- 海外
大規模な山火事が起きたオーストラリアにおいて、住宅・家財保険の「火災」の定義が保険会社ごとにばらばらで、補償されないケースがあるなどとして、豪州の消費者団体CHOICEは2月26日、業界での統一化を求めるキャンペーン運動を開始した。同団体は「洪水における標準的な定義がすでにあるのに、火災においては保険会社が好きなように定義し、請求を拒否している。業界がこの問題に対処しないならば政府が介入すべきだ」と訴えた。
豪州で起きた大規模な山火事の経済損失は推定1000億ドル。こうした自然災害の発生時にこそ保険会社が果たす役割は大きいが、CHOICEの調査では、26の住宅・家財保険のうち7割に問題があることがわかった。山火事による損害の補償を適正に明示していたのはアリアンツ、ANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)、CGU、Comminsure、TIOなど一部の保険会社。そのほかの保険会社は火災の定義が複雑・不明瞭・不公正な上、紛らわしい除外項目を設定するなどしていた。
例えば、住宅に着火しなかった場合は補償対象外とし、煙や熱による損害をカバーしない保険もあった。中には自宅から10メートル以内の建物が焼損した場合のみ補償するという保険もあったという。同団体は「こうしたトリッキーな条件は、火災保険に加入する際の消費者に単純な期待とは大きく乖離している」と指摘した。
2011年にクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州を襲った大洪水では保険加入者の多くが補償の対象外となり、保険業界に批判が殺到。政府主導のもと、翌年には「洪水」の統一的な定義が導入された。
CHOICEのキャンペーンには、すでに約3万5000人が参加。2月26日にはキャンベラを訪問し、政府に火災の定義の統一化を要請した。同団体は「すべての自然災害において標準的な定義が必要だ」と訴えている。