冷凍食品協会、消費者7団体と意見交換 食品ロス対策など説明
- 2020/2/4
- 食品
日本冷凍食品協会は2月3日、消費者団体7団体と意見交換を行った。2008年に起きた中国産冷凍ギョーザ中毒事件を契機に毎年実施しているもので、今年で12回目。SDGs(持続可能な開発目標)の視点から食品ロスやプラスチック容器に関する質問や要望が相次ぎ、協会が取り組みを説明するなどした。
意見交換に参加したのは主婦連合会、消費者市民社会をつくる会(ASCON)、全国消費生活相談員協会(全相協)、東京消費者団体連絡センター、日本消費者協会、フードコミュニケーションコンパス(Foocom)の7団体、計13人。食品ロス、プラスチック容器、表示、学校給食、高齢者への啓発など、幅広い課題が提起された。
Foocomの瀬古博子さんは「三分の一ルールを巡り、流通では食品ロス削減の取り組みが進んでいないという話を聞く」とし、この問題に対する協会の認識を聞いた。これに対し、松島和浩・運営委員会委員長は「食品ロス問題は世界的な課題になっており、海外の消費者団体からも日本の商習慣についての見直し要請が来ていると聞いている。ある大手流通ではメーカー、卸、消費者を集めて研究会を開いていると聞いているので、少しずつではあるが見直しが進んでいると感じている」と説明した。
全国消費生活相談員協会・食の研究会の澤木佐重子代表は「消費生活センターに冷凍食品の異物混入の相談が結構入っていたが、どのような苦情が寄せられているのか」と質問。CS(顧客満足)研究会座長で味の素冷凍食品の伊藤聡さんは「消費者からの問い合わせ件数は右肩下がりにある。当社の場合でいうと(調味料の)味の素、(飲料の)味の素AGFは問い合わせに対する苦情件数が1割程度だが、味の素冷凍食品は平均して3割をクレームで占める。冷凍食品には手作業の工程があるため、苦情の多くが異物混入に関するもの。時代を反映してアレルゲンの問い合わせも増えている」と回答した。
また、東京消費者団体連絡センターの星野綾子さんは「消費者団体同士の意見交換では、冷凍食品のプラスチックごみが話題になる。食品衛生上プラスチック容器が一番良いのは理解できるが、今後の取り組みを聞きたい」と質問。環境部会の府川雄三副部会長は「冷凍食品は賞味期限を長く設定するため、その間安定して品質を保つ必要があるという点でプラスチックを採用することになる。取り組みとしてトレーの薄肉化を進めていて、使用量をかなり削減している」と回答。バイオマスプラスチックを使った容器や紙製容器を採用するメーカーが登場するなど、「各社ができる部分から取り組みを進めている」と説明した。
Foocomの森田満樹事務局長は「義務化となる表示項目が増えていき、重要な情報が伝わらないおそれがある。やけどの危険性など使用上の注意についてもきちんと伝えてもらいたい」と要望。全国消費者団体連絡会の浦郷由季事務局長は「消費者ニーズを理由に明治がアイスクリームに賞味期限を表示すると聞いたが、消費者に対する向き合い方がこれでいいのかと疑問に思う。冷凍食品にも『保存料不使用』と表示するものがあるが、冷凍保存するから保存料を使う必要がないということをきちんと説明すれば容器包装に表示する必要はない。重要な情報をきちんと伝えて理解してもらうことが、本当に消費者に向き合うことになるのではないか」と意見した。
冷凍食品は家庭用が伸びており、近年は介護食、減塩・カロリーオフ商品、ミールキット(食材セット)など多様な製品が登場している。木村均専務理事は「シニア層、単身者、働く女性が増えてきたことが背景にある」とし、冷凍食品の利点をアピールして更なる活用を呼びかける方針だ。