【米国】ワイヤレス電源は可能 WiFiが実現したように
- 2020/1/24
- 海外
1世紀以上も前に、ワイヤーを使わない送電技術の実験に挑んだ発明家二コラ・テスラ――。財産をつぎ込んでニューヨークに発電所を建設したものの、失敗に終わった伝説の発明家の夢が近い将来、現実のものになるという。
米消費者情報誌コンシューマーリポートは「テスラの夢はいまだ商業ベースにおいて実現していないが、すでに一部のスタートアップ企業が実用化に向けて開発を進めている」と報じた。そう遠くない将来、スマートフォンのバッテリー切れは起こらなくなり、家電製品はコードレス化して充電不要に。店頭の商品は電子タグで管理され、空港のトイレは自動洗浄されるようになるという。
開発を進めるGuRu Wireless社のロリアン・ボーンCEOはワイヤレス電源をWiFiと比較。「20年前にはこの世にWiFiは存在していなかった」とし、「それが今ではWiFi技術を活用して様々なサービスが実現している。ワイヤレス電源もこのようになる」と語った。 同社は今年後半にもミリ波技術を使ったワイヤレス電源トランスミッタを発売する予定。室内のスマートフォンやタブレット、ノートパソコン、防犯カメラなどにワイヤレスで送電できるという。対応機器や法的な承認を得るための手続きが最終段階にあるという。
一方、送電機と受信機を製造するオシア社はワイヤーとバッテリーが不要の電子タグシステムを開発。現在一部のウォルマート店舗で試行導入されている。多くのワイヤレス機器で使われている無線周波数(2.4ギガヘルツ)を利用した仕組みだという。そのほか、赤外線を使って送電する技術を開発する企業も登場している。
技術開発が進む中、障壁も多い。オシアで技術開発を担当するカーネギーメロン大学のスワリン・クマール准教授は「開発にはコストがかかり、法規制などのハードルも高い。家や都市などを大規模にワイヤレス化するためには、この技術を大企業や社会が受け入れる必要がある」と指摘。「Qiワイヤレス充電ですら、多くのスマートフォンに搭載されるのに何年もかかった。ワイヤレス電源は実現可能だと確信しているが、それは革命ではなく(今ある技術の)進化になるだろう」と語っている。