二酸化炭素濃度、最高更新 世界平均と連動 埼玉・堂平山観測所
- 2020/1/14
- くらし
世界的な異常気象や山林火災、巨大台風の発生要因として気候変動の影響が叫ばれる中、埼玉県環境科学国際センターはこのほど、県内における2018年の二酸化炭素濃度が観測史上最高を更新したと発表した。観測開始からの濃度増加率は世界平均とほぼ等しく、地球規模での濃度増加による影響とみている。一方で、県内事業所からの温室効果ガス排出量は改善傾向がみられるとし、同センターは「地球温暖化を防ぐため、個人にもできることは多い。環境配慮型製品への切り替え、節電、ごみの削減などを心がけてほしい」と呼びかけている。
同センターは1993年から、東秩父村の堂平山観測所で二酸化炭素濃度の精密観測を開始。18年の年平均値は414.65ppm(速報ベース)となり、21年連続で観測史上最高を更新した。月平均値も同年4月に過去最高の419.65ppmを記録した。観測当初の93年は361.02ppmで、25年間で53.63ppm(14.9%)の増加となった。世界平均濃度はこの間、356.19ppmから405.55ppmへと49.36ppm(13.9%)増えており、世界平均と連動性が確認された。
世界気象機関(WMO)の観測基準を採用した国内観測所は、埼玉県の2カ所と気象庁の3カ所(綾里、南鳥島、与那国島)のみ。このうち堂平山観測所は首都圏に近く、濃度が最も高い観測地点として知られている。県内のもう1カ所の観測地点は加須市の環境科学国際センターで、「堂平山観測所とは30キロ程度しか離れていないが高低差があり、濃度に違いがみられる。近年、濃度差が縮まっており、県内での温室効果ガスの排出に改善がみられるが、世界平均に引っ張られて過去最高を更新している状況だ」と説明した。
堂平山での観測データはWMOの温室効果ガス世界資料センターに提供され、世界的な濃度分布の解析などに利用されているという。