【米国】不健康な食品の購入促す宣伝を問題視 通販サイト調査

食品政策を監視する米国非営利団体の公益科学センター(CSPI)は1月7日、食品通販サイトによる不健康な食品の宣伝手法を問題視する報告書を発表した。不健康な食品が検索結果の上位に表示されたり、バナー広告やメールマガジンで頻繁に宣伝されたりすることが調査で判明したとしている。CSPIは「スーパーなどの実店舗は陳列できる商品数が限定されるため一定の制限がかかるが、オンラインは無限の購買機会を提供する。サイト運営者は国の健康指針に沿った食品選びを促すための仕組みを導入するべきだ」と訴え、規制機関に対し、プラットフォーマーの監視を求めた。

CSPIは昨年、食品を取り扱うプラットフォーマー6社(Amazon Prime Now、Fresh Direct、Peapod、Safeway、Target、Walmart Grocery)を対象に調査を実施。二つのアカウントを各サイトに作り、宣伝手法や価格設定、検索結果データなどを分析した。

その結果、検索結果の上位に表示される商品の半分以上が不健康な食品で占められ、「鶏肉」と入力すると上位にチキンナゲットが表示されるなどした。また、アカウントに届くメールマガジンの宣伝の四分の三が不健康な食品に関するもの。運営事業者による差が大きいこともわかり、サイトで頻繁に不健康な食品を宣伝していたのはSafeway(スコア72%)で、Fresh Direct(同29%)の2倍以上だった。そのほか、大手メーカーが大量生産した商品がサイトの最も目立つ位置で宣伝され、小規模生産者による優れた商品が取り上げられることが少ないことや、低収入の顧客は健康的な食品が表示されにくいことなどがわかった。

米国では、オンライン通販における食品の売上高が175億ドルにのぼり(2018年)、食品への総支出額の6%を占めた。調査会社FoodMarketing Instituteは2025年までに5倍超の1000億ドル(約11兆円)に拡大するとみている。

CSPIは「食品販売の主導権がスーパーからプラットフォーマーへと移るとともに宣伝手法が変化している。通販サイトはターゲティング広告やバナー・ポップアップ広告、検索結果、クーポンの配布、メールマガジンなどを通じて不健康な食品の購入を頻繁に促している」と指摘。「国の食事指針に沿った食品選びを促す仕組みづくりが必要であり、連邦取引委員会(FTC)は購入履歴や人種、収入、地域のデータを駆使したプラットフォーマーのマーケティングを監視すべきだ」と訴えている。

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