【豪州】アルカリ性ダイエットは単なるブーム 科学的根拠なし

豪州の消費者団体CHOICEは1月3日、SNSなどで話題になっているアルカリ性ダイエットの効果を検証する記事を掲載した。このダイエットは酸性食品(肉や乳製品など)を取らない食事療法だが、同団体は「一部の医師など多くの人がメリットを強調しているが、栄養学の専門家は単なるブーム(一過性の流行)とみているようだ」としている。

アルカリ性ダイエットはアルカリ性食品で作ったメニューを食べるという食事療法。シェフや代替療法士、医師の一部が推奨しており、がん予防や治癒にも効果的だと主張する人も現れているという。

しかし、オーストラリア栄養士協会(DAA)のラニー・マグリス氏は「このダイエットは三つの大事な食品群(肉、魚、鶏肉、卵、穀物、乳製品)を摂取しない食事療法。本質的には穀物を制限したビーガンダイエットだ」と指摘した。アルカリ性食品を摂取しても血液のペーハー(pH)を変えることはなく、ダイエットや炎症、高血圧、うつ病、骨密度の改善につながるという科学的根拠はないと強調した。

一部で主張されているがんの予防・治癒効果についても、科学者などで作るCancer Council NSWのクレア・ヒューズ氏は「アルカリ性食品の人への健康影響を調べた研究は少なく、がん治療に活用できるという十分な証拠はない」とし、「食事ががんのリスクに与える影響は大きいが、食品が酸性かアルカリ性かを気にする必要はない」と説明。一方で、「アルカリ性ダイエットのもっともらしい説明を信じてしまい、がん治療を放棄してしまうことを懸念する」と呼びかけた。

ただし、アルカリ性ダイエットにも利点があり、栄養士のマグリス氏は「不足しがちな野菜や果物の摂取を促している」ことだという。アルカリ性ダイエットの本質は、栄養価の低い食事による体重の減少。同氏は「体重減少はアルカリ性とは何の関係もなく、このダイエットを長期間続けると健康や精神上のマイナス面が大きい」と警告している。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会
    消費者庁は10月16日、高齢者や障がい者の地域見守り活動についての情報共有化をめざして「高齢消費者・c
  2. 米消費者製品安全委員会
    米国消費者製品安全委員会(CPSC)は11月18日、複数の事故が発生していることを把握していながら直c
  3. 電話相談
    ◎全国有料老人ホーム協会が開設 経験豊富な相談員が対応 公益社団法人全国有料老人ホーム協会(有老協c
  4. JAPA中下裕子代表理事
    ◎東京消費者団体連絡センター主催の学習会で PFAS(有機フッ素化合物)問題への理解を深めようと、c
  5. 英国の消費者団体Which?
    英国の消費者団体Which?は11月14日、5月に施行された「反グリーンウォッシュ規則」などへの違反c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る