消費者庁・伊藤明子長官 法と証拠に基づき厳格に法執行🔓
- 2020/1/7
- くらし
新春特別インタビュー 消費者庁・伊藤明子長官
年間100万件台で推移する消費者苦情相談――。どの年代の上位相談も「デジタル社会」を象徴する深刻トラブルで占められている。「消費者庁10周年」の2019年は、「取引」「安全」「表示」の各分野で、10年前には予想もしなかった新たな悪質手口が横行した。「消費者ホットライン188」の周知、「エシカル消費」「食品ロスの削減」「消費者志向経営」などSDGs(国連の持続可能な開発目標)への取組が推進される一方で、通信技術の高度化やグローバル化を背景とする複雑・多様化した消費者被害の発生が目立った。新年を迎えるにあたり、ニッポン消費者新聞は消費者庁・伊藤明子長官にインタビューし、裾野を広げ、専門分化する消費者問題への対応を尋ねた。伊藤長官は、大切なことは「ぜい弱な消費者を支える地域づくり」「だまされない消費者、自分で考える消費者を育成する人づくり」「消費者と事業者との協働づくり」をあげ、今後も悪質業者への厳正な法執行を推進しつつ、消費者、地方公共団体、事業者との連携構築、消費者教育の充実、などの取組を推進していく、と強調した。「着眼大局・着手小局」に立ち、「やるべきこと、やりたいことを、やれるときに」と、施策推進への思いを表明している。
■変わる社会、変わる消費者前提に
日々の暮らしの向上へ向け、身近な消費者問題をすくいあげ、改善・解決へと結びつける、そのような消費者行政の役割、取組範囲が年々拡大していることを実感します。高度情報化やグローバル化が進む中で、生活環境は様変わりし、社会の変化とともに人も変化しています。高齢者のみならず、若い消費者にも一人暮らしが常態化し始めました。デジタル社会の進展は、新しいビジネスモデルの登場を促し、一人ひとりの消費生活に大きな影響を与えています。
消費者庁は「食品ロスの削減」や「エシカル消費」「消費者志向経営」の推進などSDGs(国連の持続可能な開発目標)の達成に向けた取組を働きかけています。それに応えていただくように消費者の間でも、社会的価値の変化を感じさせる兆候が垣間見えるようになりました。例えば、商品の購入にあたっては、安さ以上に、環境に負荷を与えない商品の選択に重きを置く傾向がいっそう強まり、不公正な貿易ルールで輸入された商品ではなく、現地の生産者を支援できる有機栽培の商品を選ぼうとする消費行動の必要性も次第に認識されるようになりました。社会の変化と消費者の変化は、消費者政策の企画立案・推進にも大きな影響を与えています。
■悪質事業者は厳正対処、法制度検討も推進
このような社会の流れを踏まえ、消費者庁はそれに対応した施策展開に取り組んでまいります。といっても悪質事業者を処分する法執行は引き続き推進し、また、被害の早急な防止へ向けた注意喚起情報の発信にも力を注ぎます。
悪質事業者の市場からの排除は消費者庁にとって根幹的課題です。年々巧妙化する悪質な手口から消費者を守る施策展開は当庁の役割であり、法と証拠に基づく厳格な法執行を基本に…(以下続く)
(本紙「ニッポン消費者新聞」1月1日新年特集号より転載)
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