【米国】畜産業への抗生物質販売量9%増 非営利団体が懸念
- 2019/12/12
- 海外
医療上重要な抗生物質の畜産業への販売量が2018年は前年比9%増と約1割増加したことが米食品医薬品局(FDA)の調べでわかった。これを受け、食品政策を監視する非営利団体U.S.PIRGは12月10日、「CDC(米疾病対策センター)の推計では薬剤耐性菌感染症により15分ごとに1人が死亡している。販売量の増加を懸念している」との声明を出した。
FDAの報告によると、2018年の販売量はピーク時(2015年)から38%減少したものの、前年比で9%の増加となった。最も販売量が多かったのは低コストな抗生物質として知られるテトラサイクリン。前年比12%増の3974トンを売り上げ、全体の66%を占めた。以下、ペニシリンが12%、マクロライドが8%、スルファスが5%など。家畜別では牛が42%を占め、豚が39%、七面鳥が11%、鶏が4%など。
U.S.PIRGなど複数の消費者団体はファストフードや外食レストラン大手に対し、抗生物質不使用の肉類の使用を求めるキャンペーンを展開している。U.S.PIRGは「養鶏では取り組みがかなり進み、抗生物質の使用量が減少しているが、牛と豚は依然として抗生物質に依存し過ぎている」と指摘。「国は畜産業界に対し、抗生物質の使用についての責任を負わすべきだ」とし、抗生物質の使用を病気治療や感染症発生時の予防的措置に限定する規制作りを求めた。