漂着ペットボトル、11年以降減少傾向 回収量向上も一因か

2018年の台風21号、24号で愛知県内の河川域に漂着したペットボトルを年代分析したところ、2011年以降に製造したボトルの漂着本数が減少傾向にあることが四日市大学環境情報学部の千葉賢教授らの調査でわかった。清涼飲料向けペットボトルの出荷量は右肩上がりに伸びており、調査に協力したPETボトルリサイクル推進協議会は「使用済みペットボトルの回収率の向上に関係する可能性もあり、注目される研究結果だ」としている。

千葉教授らは10月23日に庄内川・新川中堤防で232本の漂着ボトルを無作為に回収。推進協議会が分析を行い、製造年を推定できた85本を年代別にグラフ化した。その結果、2006~2010年製造のペットボトルが全体の42.2%を占めて漂着本数が最も多かったのに対し、それ以降に製造されたボトルは減少傾向にあることがわかった。11~15年製造分は25.4%、16~18年製造分は12.2%だった。推進協議会によると、ペットボトル回収率は2012年度に90.5%(前年度79.6%)と上昇し、以降90%前後で推移していた。千葉教授はペットボトルの回収率の向上に加え、地域による清掃活動の効果、気象変動など複数の要因があると推察している。

また、回収した漂着ボトルから20年以上前のグリーン着色ボトルが多数見つかり、海へと流れ込むのに長い年月を要することが示唆された。推進協議会は「リサイクルを進めるため2001年に指定ペットボトルへの着色を自主的に禁止した。調査では漂着ボトルが20年以上も朽ちずに残っていたことが確認され、ペット樹脂がマイクロプラスチックになりにくい素材であると考えられる」とし、ペットボトルの劣化について科学的な分析を行い、裏付けを進めていることを明らかにした。

調査結果は11月20日開催の記者説明会で報告されたほか、「PETボトルリサイクル年次報告書2019」にも収録されている。報告書は推進協議会ホームページから閲覧できる。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 全相協公開シンポジウム
    ◎「サプリメント形状食品の規制必要」との意見も 全国消費生活相談員協会(全相協)は11月15日、秋c
  2. ニッポン消費者新聞2024年1月号
    特集 健康食品110番に350件超 全相協、シンポジウムで報告 機能性食品は21件 ~c
  3. パブリック・シチズン
    米国の消費者団体パブリック・シチズンのロバート・スタインブルック博士は11月21日、米食品医薬品局(c
  4. ETOC
    特殊詐欺グループと知りながら電話回線を提供する反社会的な電話事業者が存在することから、通信系の5団体c
  5. 高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会
    消費者庁は10月16日、高齢者や障がい者の地域見守り活動についての情報共有化をめざして「高齢消費者・c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る