食品のカビ「全滅は無理、増やさない対策を」 都民講座に40人
- 2019/11/27
- 食品
冬でも、みかんや餅に発生するカビ――。東京都健康安全研究センターは11月26日、食品を汚染するカビの実態と発生を防ぐ方法について学ぶ食の安全都民講座を開催した。講義を行ったNPO法人カビ相談センターの高鳥浩介理事長は「カビはどこにでもいて、衣食住のどこにでも生える。食環境からカビを全滅させることはできないので、増やさないことを意識して衛生管理をおこなってほしい」と呼びかけた。
講座には消費者や食品事業者など、定員となる約40人が参加。様々なカビを顕微鏡で観察する実験も予定され、同センターの野口俊久健康情報解析担当部長は「これだけのカビを一度に観察できる貴重な機会。身に付けた知識を家庭や職場に持ち帰り、役立ててほしい」と挨拶した。
高鳥理事長によると、空気1立方メートル当たりのカビの数は100~500個、特にホコリには1グラム当たり10万~100万個も生息し、食品などに付着して増殖するという。食品ごとに発生するカビは決まっており、アオカビは穀類、赤カビは果物や麦、黒カビは飲料、カワキコウジカビは塩分の多い漬物などを好む。高鳥理事長は「カビにとって都合のいい食品に特定のカビが生える。保健所を対象とした調査では、菓子や飲料をはじめ野菜、果物、魚、総菜など様々な食品でカビの苦情が寄せられていた」と報告した。
カビは熱に弱く、50℃を超えると秒単位で死滅していく。一方で、低温には比較的強く、冷蔵(4~10℃)では活動が停滞するもののゆっくりと生え、冷凍状態では生えることはないものの死滅しないという。また、根を張ったカビは数カ月以上も生きる「したたかな生き物」。高鳥理事長は「乾いても死なず、非常に長生きし、根を張って増殖すると駆除に膨大な労力と時間と経費がかかる」と指摘した。
食品のカビを防ぐ方法として▽シンクは洗浄し、油汚れや食べものカスを残さない▽冷蔵庫は詰め過ぎず、棚の汚れをふき取る▽まな板・ふきんは熱湯消毒する――などの対策をあげた。高鳥理事長は「周辺にいるカビを増やさない意識を持ち、少しでも減らす努力をしてほしい」と述べ、定期的な清掃を呼びかけた。