【米国】強制仲裁条項を禁止する法案、上院も早期可決を

裁判外での紛争解決を強制する「強制仲裁条項」の禁止を盛り込んだ法案(Forced Arbitration Injustice Repeal Act or the FAIR Act)が米下院で可決したことを受け、米消費者連合(CFA)は9月20日、米上院に対し、迅速に法案を通すよう要請した。CFAは「この条項は一貫して企業に利益をもたらす一方で、裁判を起こすという消費者の法的権利を制限してきた」と指摘した。

強制仲裁条項は、企業と消費者・労働者との間で紛争となった場合、裁判所ではなく民間仲裁機関での解決を強制するというもの。契約書に小さな文字で記載されているといい、消費者が同意した場合、商品やサービスでトラブルが発生しても裁判で争うことができなくなる。

多くの大手企業が強制仲裁条項を採用しており、携帯電話や自動車ローンをはじめ、クレジットカード、金融、投資、雇用などの様々な契約書に盛り込まれている。CFAは「消費者が契約書のすべての記載に目を通し、難解な条項を理解することは不可能。誰も読まない条項によって、消費者が税金によって運営されている裁判所へのアクセスを失うのはおかしい」と指摘した。

強制仲裁条項はこれまで、消費者だけでなく労働者や投資家にも大きな不利益をもたらしてきた。女性従業員が職場でセクシャルハラスメントを受けても提訴できなかったり、投資家が不正行為を働いた企業経営者の法的責任を問うことができないケースなどが起きていたという。

CFAは「日常的に使用する製品の契約書から条項を排除する法案が下院で可決したことに感謝する。消費者を保護するため、上院も行動を起こすときが来ている」と早期可決を呼びかけた。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会
    消費者庁は10月16日、高齢者や障がい者の地域見守り活動についての情報共有化をめざして「高齢消費者・c
  2. 米消費者製品安全委員会
    米国消費者製品安全委員会(CPSC)は11月18日、複数の事故が発生していることを把握していながら直c
  3. 電話相談
    ◎全国有料老人ホーム協会が開設 経験豊富な相談員が対応 公益社団法人全国有料老人ホーム協会(有老協c
  4. JAPA中下裕子代表理事
    ◎東京消費者団体連絡センター主催の学習会で PFAS(有機フッ素化合物)問題への理解を深めようと、c
  5. 英国の消費者団体Which?
    英国の消費者団体Which?は11月14日、5月に施行された「反グリーンウォッシュ規則」などへの違反c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る