ベビーゲートの事故、5年で123件 原因は「閉め忘れ」最多
- 2019/8/6
- くらし
家庭内の危険な場所に入らないよう設置する安全柵「ベビーゲート」で子どもがけがをする事故が、5年間に123件起きていることが8月5日、東京都の調査でわかった。都は同日、商品等安全対策協議会(会長・越山健彦千葉工業大学教授)を設置し、安全確保策の検討に入った。アンケート調査や実証実験をもとに実態把握につとめ、来年2月をめどに報告書をとりまとめる方針だ。
都が安全対策を検討するのは、固定方法がつっぱり式とねじどめ式のベビーゲート(ベビーフェンス含む)。階段や台所、ベランダなど家庭内の危険な場所に乳幼児が入らないよう設置する製品だが、救急搬送や受診に至る5歳以下の事故が、2014からの5年間に123件起きていることがわかった。
事故の94%が軽症だったものの、6%が入院を要する中等症の事例。けがをした子どもの年齢は6カ月以上から2歳までが多く、特に1歳が多かった。性別では男児が女児の2倍以上の件数となっていた。
事故原因では「閉め忘れ」が58件と最も多く、「2階に設置したベビーゲートの鍵をかけ忘れて、転落した」(1歳11カ月の男児、2日間入院)、「2階の階段に柵をしているが、ロックが外れており、女児が柵にもたれかかったところ、そのまま落下したようだ」(1歳1カ月の女児、救急搬送)などの事故が起きていた。そのほか、ベビーゲートを乗り越えた事例、柵が外れた事例、体をぶつける・はさむといった事例も報告されていた。
ベビーゲートには法令や規格基準がなく、各メーカーが多重ロック機構やオートクローズ機能などの安全対策を行っている状況。製品安全協会による任意の「SG基準」があるものの、2012年の改正で基準が厳しくなり、SGマークの付いた製品はほとんど流通していないという。
吉村幸子・東京都消費生活部長は「アンケート調査や実証実験により使用実態をしっかりと把握したうえで、実効性のある安全確保を検討していく必要がある。一方で、ベビーゲートがあれば防げたと思われる階段の転落事故なども多数確認しており、普及についても課題であると考えている」と語った。
都は近く、ベビーゲートを使用する保護者1000人を対象としたアンケート調査やSG基準に基づく安全性の検証実験を行う予定。来年2月までに報告書を取りまとめ、国や事業者、消費者に安全対策を呼びかけていく。