日頃の備え、クイズで学ぶ 教材「埼玉イツモ防災」が最高賞
- 2019/6/25
- くらし
埼玉県危機管理防災部危機管理課が作成した小学生向け教材「埼玉イツモ防災」が、消費者教育支援センター主催の「消費者教育教材資料表彰2019」で最高賞となる内閣府特命担当大臣賞を受賞した。防災への備えを日常生活の中で取り組んでもうおうと作成された教材で、現場の教員から高い評価を受けたという。
「埼玉イツモ防災」は防災を切り口とした小学生向け視聴覚教材。子どもが興味を持って学習できるようクイズや間違い探しといったゲーム方式を導入し、「地震でできなくなることクイズ」や「家具転倒防止間違い探し」、「災害時のトイレ○×クイズ」など9つのプログラムで構成した。いずれのプログラムも15分程度で学習でき、学校現場だけでなく地域のイベントでも簡単に実施できるよう工夫されている。
6月24日に開催された表彰式で、消費者庁の高島竜祐審議官は「消費者教育推進法では、災害その他非常の事態においても消費者が合理的に行動することができるよう、消費者教育が行われなければならない旨が規定されている。防災について学ぶ機会を子どもたちに提供することは大変重要。受賞教材は教育現場に取り入れやすく、その学びを家庭や地域において実行できるよう工夫されていて、個人にも非常時の備えが求められているという昨今の時宜に適うものだ」と述べた。
また、選考委員長の東珠実・日本消費者教育学会長は「消費者トラブルや消費者市民社会に焦点を当てた教材が多い中、防災の教材が高い評価を得るのは珍しい。一消費者として子ども達に身につけるべき能力を育成するのに非常に適した教材となっている」と講評し、「現場の先生からも使いやすい、子どもたちが夢中になって学んでいると非常に高い評価を得ていた」と付け加えた。
埼玉県危機管理防災部の福田哲也副部長は「県ではイツモ防災事業として家具の固定化、3日以上の水・食料の備蓄、災害用伝言サービスの体験、の3つを県民に呼びかけている。受賞教材は事業の一環として、子どものうちから防災意識を持ってもらうこと、子どもを通して家庭全体の防災意識が高まることを期待して作成した」と報告。
県とともに防災事業に取り組むNPO法人プラス・アーツ東京事務所の小倉丈佳所長は「防災を授業に組み込むことの難しさなど、試作段階で壁が明らかになった。防災訓練の前後や地域イベントでも使えるよう工夫した」と開発秘話を披露。「全国で大きな地震が毎年起きている。この教材が広く活用され、当たり前のように防災に取り組む社会につながればと思う」と語り、教材の活用を呼びかけた。
同教材は県ホームページ内「イツモ防災」から無料でダウンロードできる。