9月に創立10周年、歴代長官が消費者庁へアピール🔓
- 2019/5/13
- くらし
消費者問題の裾野が拡大する中、消費者庁・消費者委員会が今年9月で発足10周年を迎える。ニッポン消費者新聞は10周年を前に、モデルなき新組織の舵取り役を担った4人の歴代長官にインタビューもしくは寄稿をお願いし、就任期間の取組、今後の消費者行政・消費者庁へのアピールを寄せていただいた。それぞれの発言には、10周年に至る新消費者行政の激動、その最前線に身を置いた当事者としての重さがある。
■初代・内田俊一さん「消費者庁の真価今こそ」
――長官時代に心に残ったことは?
最初に心がけたのは、各省からの混成部隊を一つのチームにしていくことでした。折に触れて職員全員にメッセージを届ける、名目をつけては懇親会を頻繁に開催するなど工夫をしました。私自身は、消費現場を肌感覚で掴めるよう、可能な限り各地域に出かけて第一線の相談員のお話を聞くことに努めました。
仕事として心に残っているのは消費者基本計画の策定です。これからの消費者行政の方向性と青写真をしっかりと定める、その思いで担当者とずいぶん議論しました。消費者庁設置法の付帯決議は衆参合わせて57本ありましたが…(以下続く)
■第2代・福嶋浩彦さん「消費者の立場に徹底して立つ」
長官へ就任にして私が常に心がけたことは、徹底して消費者の立場に立ち、消費者全体の利益に貢献することです。そのためにも、官僚に利用されるのではなく、官僚組織の中で“異物”として存在すること、声の大きい特定の団体の代弁者にならないこと、この姿勢を貫くよう心がけました。これこそが「外」から長官として消費者庁に来た私の役割だと決意しました。
消費者庁は消費者の権利尊重と自立支援を政策の基本とした初めての行政機関です。事業者側でものを考えがちな国の政策の軸足を…(以下続く)
■第3代・阿南久さん「現場重視、地方行政支援を」
消費者庁は、各省庁縦割りの消費者行政に横ぐしを入れ、消費者行政を総合的・統一的・一元的に遂行する機関として発足しました。運営の基本は「消費者目線」です。
ですが、私が長官に就任した当時は職員のほとんどが各省庁からの出向者であり、それぞれ高い専門性を有してはいるものの、庁内では出向してきた省庁ごとに縦割りが存在しているように感じました。これをもっと風通しの良い、一体感のある消費者庁にできないかということが私の最大課題になりました。
そこで私はまず…(以下続く)
■第4代・坂東久美子さん「時代の変化に対応した連携を」
長官就任にあたって私は消費者庁発足の立役者・福田康夫元総理大臣に発足の思いをおうかがいしたことがあります。福田元総理は、消費者庁発足は当時深刻な消費者問題が続発していたことだけが理由ではない、年金記録問題の発生など、各省庁の行政運用が国民から見て「国民不在」である例が相次いでいたことも理由の一つ、と説明され、従来の霞ヶ関行政を国民・生活者本位へと転換させることの重要性を強調されました。私は、消費者庁発足の意義、その原点に触れた思いで、その後の職務遂行の基本的視点に位置付けるようにしました。
長官時代には新しい制度が相次いで導入されました。その具体的運用への環境整備に力を注いだのですが、注意した点は…(以下続く)
(ニッポン消費者新聞5月1日消費者月間号より転載)
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