【豪州】農業も変化、付加価値化加速 消費者の信頼獲得課題に
- 2019/3/5
- 海外
ACCC(オーストラリア競争・消費者委員会)のミック・キーオ副委員長が3月4日、タスマニアで開催されている農業に関する国際会議で講演し、農作物の高付加価値化が加速していると報告した。有機野菜や高級肉の生産に乗り出す農家が増える一方で、消費者の信頼獲得が課題になっていると指摘した。
ACCCによると、キーオ副委員長は「ここ数十年、農作物生産高の増加分のほとんどが、生産量ではなく販売価格の上昇によるものだ」とし、農家がプレミアム市場に次々と参入していると報告。「この変化は大きな影響を及ぼし、農家と政府ともに共通の課題を抱えることになった」と強調した。
課題の一つが消費者の信頼獲得。キーオ副委員長は「消費者がプレミアム価格を支払っている農産物の多くが、見た目で判断できないものだ。有機で飼育した子羊の肉は一般的な肉と同じにしか見えない」とし、業界が規格を作り、正しく運用することが重要になると呼びかけた。
また、プレミアム市場の拡大で流通形態も変化したと言及。「加工業者や小売業者が高付加価値農産物を安定的に仕入れるため、農家と直接取引を行うようになった。業者は複雑な価格設定システムを導入し、価格の透明性が低下した」と指摘。これにより農家の価格交渉力が低下し、立場が弱くなっていると報告した。こうした農業分野の課題に対応するため、キーオ副委員長は「業界、農家、消費者と協力して政策決定を行っていく」と強調した。