【米国】スクールバスは電気に ディーゼル排ガスを懸念

消費者政策を監視する非営利団体U.S.PIRGは、2030年までに輸送・通学用などすべてのバス車両をディーゼルから電動式に切り替えるよう求めた。健康被害の低減と地球温暖化防止が狙い。高価格な電動バスの導入をためらう運行業者が多い中、同団体は「ディーゼルよりも燃料費と維持費がかからず、最終的に17万ドル節約できる」とアピールしている。

ディーゼルエンジンの排ガスは国際的にも発がん性が指摘される有害物質で、子どもの呼吸器疾患の原因の一つ。さらに温室効果ガスの主要排出源でもあり、同団体は「ディーゼル車両は汚染をまき散らし、不健康で、高コストな過去の乗り物。スクールバスと路線バスの利用者は毎日、有害ガスの吸引を強制されている」と指摘した。一方で電気バスを次世代の乗り物だとし、「排ガスが発生せず、ディーゼルや天然ガスに比べてクリーン。すべてのバスを電動式に切り替えると温室効果ガスの排出量を年間平均730万トン減らすことができる」と強調した。

米国内では2017年には568台の電気バスが運行していて、今も増加中。カリフォルニア州では150台ものスクールバスが走り、この取り組みはマサチューセッツ、ニューヨーク、ミネソタの各州にも広がっているという。

環境・公衆衛生の利点だけでなく、コスト削減にもつながる電気バスだが、普及を阻む最大のネックは導入費用が高いこと。路線用電気バスの価格はディーゼルバスよりも20万ドル(約2200万円)、スクールバスだと同じく12万ドル(約1300万円)余計にかかる。

2030年までの電気バス化を達成するため、U.S.PIRGはバス運行会社と地方公共団体とのパートナーシップを呼びかけ、地方債・地方交付税による資金調達や助成金の活用などを提案。企業の負担を和らげるため、新たに購入する車両を順次、電気バスに切り替えながら、段階的にディーゼル車両の全廃を目指すよう求めた。同団体は「この取り組みが広がれば電気バス市場の成長が加速し、それに伴い技術が進歩し、車両価格も下落していくだろう」と分析している。

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