<米国>回収中のシリアルいまだ販売 リコール制度の限界露呈

サルモネラ菌による食中毒の発生を受け、ケロッグが6月から回収を進めるシリアル食品「ハニー・スマック」がリコール着手から2カ月後も一部の小売店で販売されていることが、FDA(米食品医薬品局)の調査でわかった。リコールが実施された食品を販売することは違法だが、FDAには販売を強制的に止めさせる権限がなく、その間、食中毒が拡大する事態に。消費者保護団体U.S.PIRGは「食中毒の拡大は防げたはずだ。FDAが阻止できないのならリコール制度を改革する必要がある」と指摘した。

FDAは5月に複数の州でサルモネラ菌が原因とみられる食中毒の発生を把握。患者への聞き取りなどから発生源をケロッグの「ハニー・スマックス」と特定し、協議の結果、同社は6月14日、自主回収に着手した。しかし、FDAによる7月の調査では、食料品店や小売店舗の一部が問題のシリアルの販売を続けていることが判明。これまでに患者数は6月14日時点の31州73人(うち24人が入院)から、8月31日時点の36州130人(うち34人が入院)へと拡大していた。

こうした事態を受け、U.S.PIRGは9月6日、「食中毒を引き起こすリコール中の食品がいまだに購入可能な状況は到底受け入れられない」とする声明を発表。FDAに対し、把握している小売店名を公表するよう要求したほか、「FDAが販売の事実を知りながらその脅威を取り除くことができないのは制度上の欠陥だ」として、リコール制度の改革を訴えた。

同団体は「最新の通信システムと情報技術を駆使すれば、店舗の在庫状況の把握や消費者への通知などは可能だ」としている。

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