大阪府消費生活センターが最高賞受賞 消費者教育教材表彰
- 2018/6/26
- くらし
大阪府消費生活センターが作成した高校生向け消費者教育教材「めざそう!消費者市民」が、「消費者教育教材資料表彰2018」(消費者教育支援センター主催)で最高賞となる内閣府特命担当大臣賞を受賞した。使い勝手にこだわり抜いた教材で、「教員にとっての活用のしやすさ」が審査委員から高く評価された。
大阪府消費生活センターが2017年2月に発行した「めざそう!消費者市民」は高等学校対象の印刷教材。指導ガイド、教材、別冊のワークシートから成り、▽商品の安全▽生活の管理と契約▽情報とメディア▽消費者市民社会の構築――の四大テーマを5つのカテゴリーに分け、若者に関連性の高いダイエット食品やカラーコンタクト、アルバイト、ネットショッピングなど11の題材を盛り込んだ。
6月25日に開催された表彰式では、若年層の啓発を担当する五味桂子さんが高校生への消費者教育の必要性を報告。「消費者を取り巻く環境がめまぐるしく変化し、民法における成年年齢引き下げの議論がなされ、高校生の消費者教育の推進は待ったなしの状況。この教材は授業で活用することが大前提だった」と説明した。
アクティブラーニング型の授業ができるよう教材の内容を工夫したほか、ワークシートには補足資料や解答例、指導上の留意点、関連用語などを記載。リテラシー能力を身に付けられるよう設問の設定にも配慮した。五味さんは「幅広い視点から思考力、判断力、行動力を養成することができ、切り口を多様化したことで家庭科や公民科、特別授業でも活用できる」と報告した。
また、教材の監修を担当した大阪教育大学の鈴木真由子教授は「学校現場で消費者教育に充てられる時間は決して多くない。先生方に教材を手に取っていただき、使ってみたいという気持ちにさせるための工夫を徹底的に考えた」と報告。教員の指導スタイルや授業経験の有無などに配慮して、応用が利くものにしたと説明した。
府では昨年度からとして府立高校4校をモデル校に指定し、この教材を活用したモデル授業を展開。今年2月には「モデル授業実践事例集」を発行し、教材の活用方法を提案する取り組みも行っている。
選考委員会委員長の東珠実・椙山女学園大学教授は「成年年齢引き下げが注目される中、適時性のある網羅的な教材。使い手に親切な作りになっており、王道を行く使いやすい教材といえる」と評価。選考委員からは「テーマごとに授業プランがあるため、教員が授業の必要に応じてそのまま活用できる」などの意見が出た。
内閣府特命担当大臣賞は昨年度に創設された最高賞で、行政機関の受賞は今回が初めて。教材と事例集は府消費生活センターホームページからダウンロードできる。