<米国>ロメインレタス食中毒、「トレーサビリティ導入を」
- 2018/5/21
- 海外
アリゾナ州ユマ産のロメインレタスが感染源とみられる大規模な食中毒が発生した問題で、消費者団体コンシューマー・ユニオン(CU)は5月18日、FDA(米食品医薬品局)に対し、農産物へのトレーサビリティ制度の導入を改めて呼びかけた。「(現行の制度では)アウトブレイクの原因を追跡できないことは誰もが知っていることだ」と指摘している。
CDC(米疾病対策センター)によると、4月に入って報告されたロメインレタスによる腸管出血性大腸菌(O157:H7)の食中毒事件は、5月16日現在、32州に拡大。172人が発症し、うち75人が入院(20人が腎不全を発症)、カリフォルニア州で1人が死亡した。ユマ産ロメインレタスが最終出荷されたのは4月16日。現在は流通していないが、CDCは依然として終息宣言を出していない。最終的な患者数は、医療機関からの報告が平均2~3週間かかるため、今よりも増える見通しだ。
一般的に食中毒の原因究明や感染源の特定は困難とされる。FDAはアリゾナ州ユマのハリソン農場を汚染ルートの一つと特定したものの、「今回の事件が単一の栽培者、収穫機、加工業者、販売業者によって説明できるものではない」とコメントしている。
ロメインレタスを巡っては、昨年末から今年初めにも米国とカナダで食中毒が発生していた。FDAなどは今回の事件との関係性を否定しているが、CUは「ロメインレタスの大腸菌汚染はめったにないことであり、この5カ月に何が起こったのか当局は解明し、消費者に説明すべきだ」と強く要求。「5年前に農作物の流通経路を迅速・効率的に追跡するシステム(いわゆるトレーサビリティ制度)の導入を提案したが、FDAは動かなかった。今こそ行動すべき時だ」と訴えた。