【米国】マスク氏がCFPBの廃止に言及 非営利団体が反論
- 2024/12/5
- 海外
トランプ次期大統領から政府効率化省の共同責任者に任命されたイーロン・マスク氏が11月27日、自身が所有するSNS「X」で「消費者金融保護局(CFPB)を廃止せよ」とツイートした。この投稿を受け、非営利団体パブリック・シチズンは即座に反論する声明を発表し、「マスク氏は自身が参入しようとしている事業分野を巡ってCFPBの廃止を求めているだけだ」と強調。「テクノロジー界の大富豪であるマスク氏は(CFPBの功績を)調査すべきであり、あるいはAIに調査させるべきだ」と皮肉を交えて反対の声をあげた。
マスク氏はXに「Delete CFPB. There are too many duplicative regulatory agencies.」(CFPBを廃止せよ。重複する規制機関が多すぎる)とツイート。12月5日時点で41万件以上表示されており、各種メディアが記事として取り上げるなど様々な憶測が広がっている。
CFPBはリーマンショックなどの世界金融危機の発生を受け、2010年に設立された独立監視機関。金融業界における消費者保護を監督し、銀行やその他金融機関の不正行為に目を光らせている。報道によると、職員は約1700人、年間予算は7億ドル近くになるという。
マスク氏のCFPB不要論に対し、パブリック・シチズンは「政府の効率性の模範であり、金融機関の不正行為に対し、消費者に約200億ドルを返還してきた」と反論。設立された経緯については▽大規模な規制緩和が2008年の金融危機を引き起こし、米国に数兆ドルの損害を与え、より厳しい規制と独立した監視機関が必要になった▽そもそもCFPBが設立されたのは重複している金融規制機関のいずれもが消費者保護を優先しなかった――ためだと指摘した。
マスク氏は現在、Xに決済サービスを実装させる「万能アプリ化計画」を進めており、パブリック・シチズンは「このような事業はCFPBの規制対象。自身が参入しようとしている事業分野を巡って廃止を求めているのだ」と推察。CFPBが実際に廃止されるかについては「設立は法律に深く根付いており、支持者も多いため、トランプ氏やマスク氏によって廃止されることはないだろう」と予測している。