香港とタイの消費者委員会が覚書 越境トラブルの解決目指す

香港消費者委員会は10月24日、タイ消費者委員会と越境消費者トラブルに関する覚書を結んだと発表した。香港消費者委がアジアの消費者組織と結んだ覚書は、2017年の韓国消費者院、18年の国民生活センター、19年のシンガポール消費者協会に続き4件目。アジア有数の観光地でもある両地域はパンデミック後、双方から旅行者が急増しており、現地での取引も活発化しているという。両委員会は旅行先で発生した消費者トラブルの解決に向けて協力していくとしている。

香港とタイは地理的にも近く、パンデミック後に旅行需要が急回復している。2023年にタイを訪れた香港人は80万人と前年比4倍に増加、香港を訪れたタイ人は45万人と前年比34倍に急増していた。さらに、共同開発のQR決済サービスが市場導入されるなど取引活発化に向けた環境整備が進められている。一方、香港では2020年以降、タイでの不動産購入巡る苦情が33件寄せられるなど深刻なトラブルも発生していた。

香港のチャン・カムウィン会長は「消費者はタイトな旅行日程や言語など様々な制約により、現地で苦情を申し立てることができない可能性が高い。特に海外不動産のように高額が絡むトラブルは法律や文化、商慣習の違いにより個人では解決が非常に困難になるだろう」と指摘。覚書が帰国後の紛争解決に役立つだけでなく、両地域の観光・小売産業の発展を促すと強調した。

タイのサリー・アオンソムワン事務局長は「覚書は消費者保護を進めるための重要な一歩だ。消費者に最大限の利益をもたらすために協力し、重要な共同プロジェクトをこれからも開発するという共通の決意を表すものだ」とコメントした。

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