自動運転車事故、「運転補助技術ですら未完成」と非難

米配車サービス大手「ウーバー・テクノロジーズ」の自動運転車が歩行者をはねて死亡させた問題で、米消費者情報誌コンシューマーリポートは19日、事故の詳細を伝えるとともに、自動運転技術について「どんなに優れた技術でも100%完全に作動することは証明されていない」とコメントした。同誌の自動車テスト担当者は、一般車両に装備されている運転補助システムですら時折エラーを起こしていたとしている。

ウーバー社の開発者ブログなどによると、事故を起こした自動運転車はLidar(レーザーを利用した光学式測距モジュール)とカメラにより歩行者を認識するとともに死角がないかを追跡、信号機を監視し、車線の位置を把握する機能を持っていたという。こうした機能についてコンシューマーリポート自動車テスト担当のジェイク・フィッシャー氏は「たしかに自動運転技術が進化し続けているのは認めるが、一般車両に標準装備されている運転補助システムですら完成途上の技術だ」と指摘した。

フィッシャー氏によると、あらゆる種類の運転補助システムが時折期待通りに作動しないことがあったといい、「前方衝突予測警報システムが偽の警告を鳴らしたり、車線維持システムが車線標識を認識しなかったりした」ことを明らかにした。

米国では自動運転車の普及を目指す法案が議会で審議中。既存の安全基準を免除して実用化を目指す内容で、安全擁護派の議員が猛反発している。消費者団体のコンシューマー・ユニオン(CU)の製品安全政策担当ディレクター、デビッド・フリードマン氏は今回の事故を受け、「議会は安全基準の免除に焦点を当てるのではなく、安全性を担保することに焦点を移すべきだ」と訴えた。

自動運転技術を巡っては、米消費者団体連盟(CFA)も再三、安全性を最優先するように要求していた。いずれの消費者団体も自動運転車が消費者の利便性を向上させる可能性があることには同意していたが、技術の進展に規制が追いついていないことを懸念していた。CFAは「消費者が安全性への懸念を持ち続ける限り普及は進まない」と非難していた。

自動運転車の走行実験場となっているアリゾナ州では、事故が起きる直前まで約600台の実験車両が公道を走り回っていたという。

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