【米国】自動車の触媒コンバーター盗難急増、緊急対策を要望

自動車の排ガス浄化装置「触媒コンバーター」を盗まれる被害が相次いでいる問題で、アメリカ消費者連盟(CFA)は自動車関連団体とともに、国に総合的な緊急対策を要望した。2000年代に製造された車の触媒コンバーターにはプラチナ、パラジウム、ロジウムなどの貴金属が使われており、それを狙った犯行が横行。2019年からの5年間に被害件数が10倍に急増しているという。CFAのサリー・グリーンバーグCEOも被害者の1人で、「触媒コンバーターは簡単に盗むことができ、それを買い取る市場も存在している。消費者と企業は数百万ドルの被害を受けており、盗難に対処する緊急性は高まっている」と訴えている。

要望書にはCFAのほか、自動車販売協会、トラック協会、損害保険協会、自動車リサイクル協会、大都市首長協会、地方弁護士教会など多数の関連団体が参加。触媒コンバーターへの追跡可能な識別マークの導入、密売に対する罰則規定、取り締まり・執行ツールの整備などを盛り込んだ対策法案の成立を求めた。

数年前、被害に遭ったグリーンバーグCEOはブログに怒りの投稿を行い、当時の一部始終を赤裸々に報告している。愛車であるトヨタプリウス(2007年型)の触媒コンバーターが盗まれ、その日から通勤が困難に。修理費は保険会社が負担してくれたが、全費用の3500ドルのうち1000ドルが自己負担となった。昨年夏に買い替えたプリウスプライムには希少価値の高い貴金属が使われておらず、現在は盗難におびえずに済んでいるという。

触媒コンバーターを切り離す際には大きな音がでるといい(グリーンバーグCEOいわくボルトを外すような「ブーン」や「ヒュー」)、音に気付いた消費者が泥棒と対峙し、けがを負ったり命を落としたりする事件も相次いでいる。CFAは「触媒コンバーターの盗難事件はもはや国家的問題だ。盗難による煩わしさと費用から消費者と企業を保護する法案の可決を期待する」と呼びかけている。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 公益科学センター
    ◎最低価格入札制度からの脱却目指す 米ニューヨーク州議会で6月に可決された食料調達に関する先進的なc
  2. 刈払機
    刈払機(草刈機)による事故がこの5年間で29件発生、多くが重大事故に発展したことから、国民生活センタc
  3. フランス消費者同盟
    フランスの消費者団体UFCが大手スーパーのレジ周りを調査したところ、公約に反して甘い菓子類を陳列してc
  4. 電話相談
    全国消費生活相談員協会は9月7日から東京・大阪・北海道で、週末電話相談110番「健康食品うそほんと?c
  5. 欧州消費者同盟
    米グーグルが欧州の独占禁止法に違反したとして24億ユーロ(約3800億円)の制裁金を科された問題を巡c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る